世界のマーケットはもはや、イスラム教徒(ムスリム)抜きに語れなくなってきました。
なぜならムスリムの人口は2010年に約16億人に達したからです。
これは世界人口に対して約2割です!
日本にとって “近くて遠い”“遠くて近い” そんなムスリム。
しかしこれから先の時代は私たち日本人との関わりはより深くなっていくことでしょう!
今回はムスリムの訪日観光客をいかにビジネスに繋げていくかについて私の見解を述べていきます。
世界人口の2割はイスラム教徒
ムスリムはアジアだけでも10億人いると言われています。
とくに東南アジアはムスリムが多いです。
東南アジア諸国の経済成長が著しいことから、未開発市場としてイスラム市場に注目が集まっています。
豊かになったムスリムの富裕層が、海外に旅行にいくケースが増えています。
2011年、イスラム圏47ヶ国の旅行者が海外で使ったお金は約10兆円、2020年には20兆円に倍増すると言われています。
これに伴い、日本でも2002年頃からインバウンド観光(訪日外国人旅行者)の受け入れは、減少が見込まれる”国内観光需要の補完”に加えて、
“外貨の獲得”や“地域の雇用機会創出”にも繋がるとして、国や地域にとっての重要産業として位置づけられてきました。
その成果もあり2013年、日本を訪れる外国人旅行者ははじめて1000万人を突破することができました。
政府は、成長戦略として東京オリンピック開催(2020年)までに2000万人まで倍増させる目標です。
皆さんもご存知の通り、
- アベノミクスによる円高の緩和による訪日旅行の割安感の浸透
- 2013年7月、東南アジア5ヶ国の観光ビザ発給要件が緩和
- 2020年の東京オリンピックの招致成功
- ユネスコにおける富士山の世界遺産登録
- 「明治日本の産業革命遺産」を世界遺産への登録
- 世界的な和食ブーム
- ハラル対応
など、訪日外国人を増やすための大切な施策です。
そして、私が一番伝えたいことは、この施策達成のキーマンとなるがムスリムなのです。
2030年には世界人口の26%がムスリムになる
ムスリムはこれからも増え続けていくと予想されています。
2030年には世界人口の26%がムスリムになるというデータもあります。
あと15年で世界人口の4人に1人がムスリムになり、その半分近くが日本に近い東南アジアのムスリムだとすると、
日本経済の明暗はまさに彼らが握っているといっても過言ではないでしょう。
そんな近未来が予想されている中で、皆さんはムスリムのことをどのくらい知っていますか?
ムスリムを知ることは大きなビジネスチャンスになります。
ハラルのことはどうですか?
ハラルとは何か?
『ハラル(Halal)』とはイスラム教の教えで「合法なもの」「許されたもの」という意味するアラビア語です。
ハラル対応『ハラル』の反対を『ハラム』とか『ノンハラル(Nom Halal)』と言い、イスラム教の教えでは「非合法なもの」「許されないもの」とされます。
イスラム教徒にとって禁じられている代表的なノンハラルは、豚肉やアルコールを使った食品・料理を食べること!
だからこそムスリムが日本に来て一番困ることが食事だと言います。
なぜなら日本の食品は、ハラルであることを証明したマークがないため”ノンハラル扱い”だということと、ハラル認証レストランが少ないからです。
なぜハラル認定の食品や、ハラル認証のレストランが少ないのでしょうか?
それは審査基準が厳しく、さらに企業にとってコスト高だからです!
では飲食店におけるハラル認証の基準はどの程度のものか列記してみます。
- 原材料はすべてハラルでなければいけない
- ハラル専用の食器を使用なければならない
- 物流からハラルとノンハラルをわけなければいけない
- すべての従業員はハラル専用のものしか対応できない
- ムスリムオーナーまたはムスリムシェフがいなければならない
- ムスリムがハラル管理を行わなければならない
- すべての調理ラインをハラル専用にしなければいけない
- アルコール飲料の提供ができない、などです。
原材料の基準をもう少し細かくしますと
- 料理時に豚やアルコールを含んだ調味料はNG
- アルコールが添付された醤油、みそ、みりんはNG
- 天ぷらなどの揚げ物の場合、使用する油が野菜や魚介類ならばOK
- とんかつや唐揚げなどと一緒の油を使っていればNG
- 調理器具や食器は、豚を調理したことあるものはNG
- アルコール消毒した食器やカトラリーの使用はNG
- 使用する食材などは、豚肉と一緒に輸送・保管することはNG、などです。
さらに鶏肉や牛肉については、
- イスラムの教えに従って解体・処理されたものはOK
ここまではハラル認定レストランの場合ですが、食品の会社の場合、さらに以下の基準が加わります。
- 製造ライン、品質管理、倉庫、配送に至るまで、HASPP(ハサップ)、ISO9000、GMP(適正製造規定)の基準をクリアしなければならない
です。
どうでしょうか?
これらを知ったとき、私はため息がでるほど厳しいなと思いました。
これらのこともあり需要があるとわかっていてもなかなか国内でハラル産業を増やすことができなかったのです。
しかし前回の投稿でもお伝えしましたが、2030年には世界の4人に1人がムスリムになるということを考えますと、難しい・厳しいでは終われないのです。
ムスリムフレンドリーとは?
ムスリムが日本に来て一番困ることが食事です。
だからこそ難しいハラル認証を所得できれば他社に対して大きく差別化することができます。
でも難しいものは難しい・・・
そういうみなさんに知ってほしいことは「ムスリムフレンドリー」という言葉です。
つまり、日本に旅行に来られるムスリムの方は最初から日本のレストランですべてハラル対応できるとは考えていないということです。
要するに、海外旅行期間中のハラル基準については各自の判断が尊重されるのです。
そのためハラルに対して厳格な解釈を持つムスリムの方は、最初からハラル後進国である日本に旅行しようなどとは思っていないのです。
もし仮にそうだとするばらば、たとえば、
- 豚肉やアルコールが入っていなければ問題ない
- 料理酒程度であれば煮切っていれば問題ない
と思うムスリムの方もいるのです。
この考えこそ『ムスリムフレンドリー』だと私は思うのです。
ムスリムフレンドリーとは、ハラル認証は取得してはいませんが、ムスリムの方に向けて出来るかぎりの範囲で配慮・おもてなしさせていただくと言うものです。
具体的に飲食店ならば、
- ハラル認証は所得していないことを店頭に明示する
- 豚やアルコールを使ったメニューを出さない
- メニューの原材料を表記する
- レシピを表記する
- メニューを英語で表記する
などです。
ムスリムフレンドリー基準は日本国内で明確に統一されていませんが、ハラル認証に比べればやってやれないことはないと思います。
具体的には、
- 原材料はすべてハラルでないといけない
- ハラル専用の食器を使用しなければいけない
ここまでは、ハラル認証と同様ですが、ここから先は
- 一部の従業員はハラル専用のものしか対応できないが、他の従業員はノンハラルのものに対応できる
- ムスリムの従業員は存在しなくてもいいが、日本人で適切なトレーニングを積んだハラル管理者をおく
- 調理場の一部はノンハラル専用にして、もう一部をハラル専用にする
- アルコール飲料はメニューにしっかりアルコールを表記して提供する
などです。
もちろんこれらを全てやらなくても大丈夫です。
あくまでも大切なことは、
- ムスリムの方に対して友好的ですよ
- ムスリムの方を受け入れていますよ
という姿勢を伝えることなのです。
飲食店であれば、どのような配慮でどのような対応を実施しているかをホームページに掲載するといいでしょう!
繰り返しますが、ハラル対応レベルは、利用する側のムスリムの方が判断します。
嘘偽りなく、出来る範囲からはじめていくといいと思います。
身の丈に合ったやり方で十分なのです。
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