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大手GMSが軒並み苦戦!2020年までにヨーカ堂、ユニーが大量閉店する

タイトル画像 大手GMSが軒並み苦戦!2020年までにヨーカ堂、ユニーが大量閉店する

国内に約1850ある総合スーパー(GMS)に大量閉店の波が押し寄せています。

GMSは「ゼネラル・マーチャンダイズ・ストア」の略で、和訳では「総合スーパー」と略すことが多いです。
この総合とは通常、食料品に衣料品、住居関連品などを組み合わせて販売する形態を指し、イオンやイトーヨーカドー、アピタなど代表的なチェーンです。

このGMSのセブン&アイ・ホールディングスの傘下のイトーヨーカ堂は2020年2月期までに40店、ユニーグループ・ホールディングスでも最大で50店を閉店する方針を固めました。

今回は、GMS苦戦の20年を分析しながら、これをどう自社のビジネスに生かしていけばいいのかということを述べてみたいと思います。

構造不況20年

GMSは構造不況と言われて20年経ちます。
この間、有効な打開策もないまま曲がり角迎えたのです。

構造不況とは不況の原因が景気循環によるものではなく、産業構造・需要構造・経済環境などの構造変動にあるとされる不況です。

では日本の小売業の歴史をみていきましょう。

百貨店、スーパー(大型店)、コンビニエンスストアの売上高推移をみてみますと、百貨店と大型スーパーの両業態は1970年代に急拡大していることがわかります。
その後、百貨店はバブル崩壊とともに一転して減少、大型スーパーは1990年代も拡大を続けましたが、1999年以降頭打ちになりました。

小売業の売上高(商業動態統計)

一方、そのころ勢いをつけてきたのがコンビニです。
1998年以降一貫して市場が拡大していることがわかると思います。

衰退期を迎えた百貨店に対して大型スーパー(GMS)は、それでもここ20年間、売上規模を維持していることがわかると思います。
しかし売上の内訳は多く変化しているのです。

大型スーパーの売上構成比

1990年代後半から飲食料品カテゴリの売上は伸ばしていますが、特に衣料品カテゴリが大きく減少していることがわかると思います。

そもそもGMS業態は「食品で集客し衣料品で稼ぐ」構造です。
この図式が近年大きく崩れてきたのです。

これはユニクロやしまむらなどの専門店が台頭してきたことにあります。
とくにユニクロは従来GMSが展開していた低廉な価格帯で、より高品質な商品を販売するようになったことも原因の一つだと考えられます。

食品の売上拡大で衣料品売上の減少を補ってきましたが、利益率の高い衣料品が縮小していることが悩みの種なのです。

食料品と衣料品の組み合わせがGMSの核

GMSの登場する前は、複数のカテゴリをひとつの店舗内で販売する業態といえば、百貨店だけでした。

このGMSが消費者に支持された理由は、居住地域に低価格帯かつ1カ所で買い物が完了する利便性がうけたため、80年代以降、日本全国で急速に発展していきました。

また、GMSは小売店側にとっても重要なメリットがありました。
それは購入頻度、すなわち集客力の高い食料品に原価率が低い衣料品などの商品を組み合わせることで、店舗の収益性を高める効果があったのです。
この仕組みが近年通用しなくなってきました。

ファミリーマートとの経営統合を発表したユニーグループ・ホールディングスの2015年2月期連結決算も、5年ぶりに最終赤字に転落しました。
足を引っ張ったのは「アピタ」などのGMS事業です。

不振の原因について、佐古則男社長は

「衣料品を中心にニーズのずれが一番大きな理由。内的要因の方が大きい。ニーズを掴み上げながらお客様に当てにされる商品、品揃えを実現してズレを是正していく」と語り、GMSが厳しいのは衣料品のシェアが取れなくなっているため。衣料品が過去には利益を生んできたが、そのスキームが崩れていると述べました。

小売りの雄、イオンの3期連続の減益

小売りの雄、イオンはGMSの苦戦で3期連続の減益となりました。
イオンの不調は、大型小売り店舗をチェーン展開するGMSの業態がいよいよ曲がり角に来ていることの現れともいえるでしょう。

イオンイメージ

GMSの苦戦の理由は決してユニクロやしまむらだけではありません。

ここ最近、消費者が大型GMSを訪れる頻度は少なくなったと思います。

日常品の買い物はコンビニ、また中価格帯のものを買うときはアマゾンや楽天などのインターネット購入へシフトしていっているからです。
リアル店舗で探し回るより、ネットでの大量一括比較、そして検索型のショッピングが効率的になっているのです。

また立体駐車場からの距離を考えると、野菜や総菜などの日々の購買なら中小規模のスーパーで済ませるケースが多いと思います。
逆に贈答品などの一部高級品は、伝統的なブランド力がある百貨店か専門店で購入します。

つまり、GMSはあらゆる業態に消費者を奪われているのです。

日本の小売業態はここ20年ほどの間に大変貌を遂げてしまったのです。
それは「大から小へ、さらに無店舗(ネット)へ」という大きな流れなのです。

強いトップでさえ、改革しきれない

「ヨーカ堂を再生させるまでは辞められない」

この言葉を最近よく口にすることが多くなったセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長が下したのが今回の決断です。
つまり2020年までに全店舗の2割強にあたる40店の閉店方針を決めたのです。

鈴木敏文会長はGMSについてこう語っています。

「商品を置けば売れる時代の体質から抜けきれない」

セブン・イレブンジャパンの精鋭を送り込んだこともありましたが、焼け石に水でした。

今のヨーカ堂は強いトップでさえ、改革しきれないのです。
こうなると成長どころか、再編もおきにくいオワコン(終わったコンテンツ)でしかないのです。

小売業界で総合スーパーを軸にした地殻変動が起きている

では日本のGMSはすべてダメなのでしょうか?
そうではありません。

いま注目なのが現在、小売業界で総合スーパー(GMS)を軸にした地殻変動が起きているということです。

この地殻変動とは一言でいうと全国展開するスーパーの稼ぐ力が一段と弱まった一方、一定の地域に根ざしてGMSを展開する企業が躍進しているということなのです。

2015年6月24日の日経MJで小売業14年度ランキングが発表されました。
数字は顕著です。

業態別の営業利益増減率で悪化が目立つのは全国スーパーです。
平均前年度比24.7%減です!!

大手GMSの内訳をみると、イオンリテール90.9%減、イトーヨーカ堂83.5%減、ユニー14.3%減でした。

これに対して地域スーパーは8.1%増、地方スーパーは9.1%増なので結果は歴然です。
地方GMSの内訳でみると、イズミ(広島)4.2%増、平和堂(滋賀)6.1%増、フジ(愛媛)12.4%増となります。

地方GMSの好調な理由はあらゆる逆風をはねのけた「地域密着力」にあるのです。

つまり大手総合スーパー(GMS)の競争力が弱まったのは、外的要因もありますが、内的要因にもあります。
それは行き過ぎた規模の拡大と本部への中央集権なのです。

これからの時代、全国画一的な商品展開や店づくりはますます通用しなくなるでしょう。

大手GMSの巻き返しはあるのか

大手総合スーパーの雄、イオンリテールは2014年度の営業利益が13年度比に対して9割減りました。
このイオンリテールの9割減という数字がイオン全体の収益に大きな打撃を与えています。

これに対してイオンは2015年2月より店づくりや商品仕入れの権限を各地域に委譲しはじめました。

イトーヨーカドーイメージ

またイトーヨーカ堂も動き出しました。

全国を13地区に再編し、それぞれに商品開発の担当を置いたのです。
これは土地ごとに違う消費者の細かない嗜好をとらえるのが目的です。

これからの時代のキーワードは「全国多様性」の店づくりです。

手間をかけ、地域の事情に応じた店づくりをする

これからGMSを再生するならば、手間をかけ、地域の事業に応じた店づくりが必要です。
つまりチェーン志向を緩め、買い手の立場での新たな成長モデルを見つけることができるか否か、ここが重要となります。

その成功事例として広島を地盤とするイズミのやり方を紹介します。

イズミヤ イメージ

イズミは、GMSを主力とするスーパーで14年度の売上高が国内5位です。
営業利益は4%増えています。

その戦略は3点です。

まず1点目は出店エリアを本社近隣に絞っていることです。
具体的に本社から約2時間で行ける場所という暗黙のルールです。
これは本部社員が迅速に現場を見て、店との連携を密にする狙いがあります。

2点目は品揃えを地元の特定メーカーに絞り込んでいることです。
たとえばスナックの陳列棚の約3分の2を地元の「ポテトチップス」などのカルビー製品が埋めています。
通常、この業界では品ぞろえが特定メーカーに大きく偏るのはご法度です。
しかしより親近感を演出するためにこのような極端な棚割りをしているのです。

そのほかには地元のプロチームのグッツ売り場を拡張して集客しています。
広島といえば広島東洋カープとサンフレッチェ広島ですね。

広島カープ 選手とファンの交流

最後に地元の学校の体操服などを扱うテナント店を誘致しています。
つまり自前の売り場にこだわらずテナントと一体で地元客が今求めるモノを揃えていったのです。

3点目は地元客が食品を買いにくる仕掛けを用意したことです。
産地直送の地場野菜などを充実させた商品売り場をつくることにより、平日の主婦層を呼び込んでいるのです。

当初は広域集客を見込み3400台の駐車スペースを用意しましたが、想定を超えたのは近隣からの自転車客の多さでした。
これに対応するために650台分の駐輪スペースを1千万台に広げたのです。
つまり自転車で買い物にくる主婦層の誘致に見事に成功できた事例なのです。

このイズミのやり方は他の業種業態でも参考にできると思います。

なぜ大手GMSは衰退の一途をたどったのか

大手GMSはそもそも店舗拡大に伴うスケールメリットを得ることで出店してきました。

しかし今の時代は、全国画一的な商品展開や店づくりは通用しないのです。
これは飲食業界も含め、すべての業界の常識になりつつあるのです。

イズミの例をあげましたが、これら戦略が反映され、見られるようになるまでは真剣に取り組んでも最低3年~5年はかかると思います。

初期投資が3年以上かかるのなら、サラリーマン社長やサラリーマン経営者は自分の担当している間に結果を残すことはできません。
すぐに実績を出さなければならないのでイズミのような真似ができなかったのです。

だから20年もの間衰退の一途をたどったわけです。

まとめ

これからの時代、あらゆる業種業界で地域密着力がモノを言う時代になります。
ですので、やり方次第では小さな会社の方が大企業以上に成果をあげることが可能です。

1990年代までは日本人は一億総中流と言われてきました。
だからこそ、全国画一的な中間層狙いの戦略でも十分成果を残せたのです。

しかし今はあらゆる面で二局化が進んでいます。
これは所得もそうですし、買い物やレジャーなどにおける消費もそうです。
つまり日常使いとハレの日使いを無意識レベルで使い分けているのです。

中途半端な商品やお店は、この流れのなかで淘汰されていくでしょう。
つまりアッパー層を狙うか、アンダー層を狙うのか、経営者としてハッキリさせなければならないのです。

ただ一つ助言するならば、下にいけば下にいくほど、大手の資本力と技術力には太刀打ちできません。
となると、いかに客単価をあげていけるのか、これがこれからの重要戦略となるのです!

2020年に向けてのGMS大量閉店のニュースはけっして対岸の火事ではありません。
いまから十分な備えをしていきましょう。


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加納 聖士