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松下村塾に学ぶ「接客サービス」とは?

タイトル画像 松下村塾に学ぶ「接客サービス」とは?

皆さんは本末転倒という四字熟語を知っていますか?
本末転倒とは、物事の根幹的・根本的な所と、そうでない所を逆にとらえたり、または取り違えることを表わす言葉です。

つまり物事をみて、本=重要な所(幹)、末=枝葉、反対になっているよ、と戒めるときに使います。

では、「本学」と「末学」という言葉は聞いたことありますか?

「本学」とは人間性や倫理観のことで、「末学」は知識や技術を学ぶことです。
末学ばかりをやって、人間性を高めない学びが『本末転倒』ということです。

今回は、 吉田松陰の松下村塾を例に出して、「接客サービス」における「本末転倒」について、その順番の大切さについて説明していきます。

本末転倒の本とは「人間力」を身に付けること

人間教学の立場では、「末学」とは知識・技能・技術を学ぶことで「時務学」(その時々において修めなければならない知識・技能)とも呼ばれています。

人間学を学ぶ月刊紙 致知

一方「本学」とは人間力を身に付け、人格を磨き、徳性を育て、道徳や良い習慣を身に付ける学びのことなので「人間学」とも言います。

ものには必ず「本・末」というものがあります。
植物にたとえますと、「本」が根であり、「末」が枝・葉・花になります。
植物を育てるのにまず根を養うことが大切です。

そうすれば、外に現われてくる幹や枝や葉を健全に育てていくことができます。

教育で言えば本来ならば「本学」が優先されなくてはなりません。
それをあやまって、「末学」が「本学」の先に立ってしまうことを「本末転倒」と言います。

「本学」と「末学」を説明するために、吉田松陰の松下村塾のことを説明します。

日本史上最強の指導者・吉田松陰の教え

皆さんは吉田松陰という人物を知っていますか?

吉田松陰は、今年のNHK大河ドラマで吉田松陰の妹、杉文(すぎふみ)の生涯を描く『花燃ゆ』の放映で、2015年は書店やテレビでの露出度も高かったです。

しかし吉田松陰の名を知っていても、何をした人物か知らない人は多いと思います。

吉田松陰といえば、幕末に今の山口県の萩市に松下村塾という私塾を開校して、2人の総理大臣をはじめ、幕末から明治の激動期において、国家の体制を築き上げた多くの逸材を排出した、日本史上最強の指導者です。

吉田松陰

松下村塾卒業生で維新後の日本を動かした大物を挙げていきます。

  • 伊藤 博文(初代内閣総理大臣)
  • 山縣 有朋(第3・9代内閣総理大臣)
  • 山田 顕義(日本大学、國學院大学創設者)
  • 木戸 孝允(維新の三傑)

惜しくも維新前に戦死した塾生は

  • 久坂 玄瑞(長州一の秀才)
  • 高杉 晋作(奇兵隊の創設者)
  • 吉田 稔麿(松陰から最も期待された人物)
  • 入江 九一(禁門の変での参謀)

ら、松下村塾の四天王と呼ばれた4人です。

松下村塾の教育理念は、「学は人たる所以を学ぶなり」

松下村塾が実質的に吉田松陰の手によって開かれていた期間は、わずか2年4ヶ月です。

その間の門下生はわずか92人です。
1年くらいしか入塾していない者もいます。

さらに松下村塾で学ぶ門下生は、藩士の子だけでなく、足軽の子もいたし、農民や商人の子どもなどさまざまです。
つまり吉田松陰はどのような身分であれ、学びたいという者は無条件に受け入れたのです。

なぜ、松下村塾からこれだけ多くの人財が育ったのでしょうか?

それは吉田松陰は、教育において本末転倒にならないように気をつけていたからです。

吉田松陰は叔父から引き受けた村塾を開くとき、『松下村塾記』という理念書を作り、自らの教育理念を掲げました。

その理念が、「学は人たる所以を学ぶなり」です。

学は人たる所以を学ぶなり

これは「人と生まれたからには、人とはどうあるべきか、この世の中で何をなすべきか、それを学問しながら追求しよう」というものです。

つまり松下村塾の塾生に学ばせたのが「人としての道=本学」なのです。

人間関係と五倫の教え

では吉田松陰が考えた「人としての道」は何だったのでしょうか?

彼が作った「士規七則」にこのような言葉があります。

凡そ生れて人たらば、よろしく人の禽獣に異なる所以を知るべし。
かだし人には五倫あり、而して君臣父子を最も大なりとなす。

現代語訳にするとこうなります。

人間としてこの世に生を受けたのであれば、当然、人聞が鳥や獣とはちがうということを知るべき。

まさしく人間には五倫、つまり、父子の親、君臣の義、夫婦の別、長幼の序、朋友の信という、人の常に守るべき五つのありようがある。

その中でも特に君臣と父子のあり方が大切である。

父子の親、君臣の義、夫婦の別、長幼の序、朋友の信

人と動物と違う点は大きく分けると、

  • 父子の間には親愛がある
  • 君臣の間には礼儀がある
  • 夫婦の間には区別がある
  • 長幼の間には順序がある
  • 朋友の間には信義がある

この5つを吉田松陰は、人として常に自覚しなさいと門下生たちに教えたのです。
これが「本学=人間学」です。

そして、これらを知るために学問をしなさいと教えてきたのです。

吉田松陰自身も学者になるために学問をしてきたのではありません。
あくまでも現実の世の中と関わりながら、自分と関わる人をよい方向へと変えていきたいこうした思いで学んできたのです。

学問の第一等はあくまでも『人物をつくること』

松下村塾は“人間性を磨き合う人間道場”です。

なぜ松下村塾から多くの人材が育ったのか?
その答えを一言でいえば、『人間学』を教えてきたからです。

  • 『人物論』
  • 『人材論』
  • 『どのような人間が必要とされるのか』

ということを徹底的に学んできました。

学問の第一等は『人物をつくること』です!!

それを身につけたあと、具体的な技術や知識を学んでいけばいいのです。

飲食店の接客サービスにおける本末転倒とは?

では飲食店の接客サービスにおける「本学」と「末学」とは何なんでしょうか?

私が定義する「本学」とは、接客サービスの心構えを学び、正しい考え方、心のあり方を知り、テーブルサービスを通じて自分の人格を磨き高めることになります。

そして「末学」は、それらを表現するためのスキルのことです。

私が飲食事業部の責任者をしていたとき、「本学」についてアルバイトスタッフ達にこのような例を出して教えていました。
このような教え方をすると、若い子も素直に受け入れてくれました。

みんな、今日一日で数多くの「ありがとう」を集めてほしい!

たとえばお客様からは、「こんなお店があってよかった。今日は楽しい時間を過ごせた・・・だから、ありがとう!」

働く仲間からは、「こんなお店で働けてよかった。自分の人生を変えるきっかけになった・・・だから、ありがとう!」

取引先の業者様からは、「おたくと取引できてよかった。こんな時代でも人の温かさと気遣いに触れることができた・・・だから、ありがとう!」

笑顔のスタッフ

何のために「ありがとう」を集めるか?

それは「ありがとう」を集めるプロセスのなかで、それぞれの人間性を高めて欲しいから・・・

人は自分以外の人の喜びを自らの喜びとし、悲しみを自らの悲しみとするとき、人として大きく成長するという。

だから、「接客サービス」とは自らを高める行為そのものなんだよ。

今日来店される多くのお客様や、今日一緒に働いてくれる仲間が、限りある二度と帰らぬ時間というもの、このお店で使ってくれる。

だから、お金に替えられないものを提供していこう。

それを目に見える形にしたのが「ありがとう」なんだ。

だから今日一日で数多くの「ありがとう」を集めよう!


私は今から13年前、それまでの実績が認められて29歳の若さで部長に昇格しました。
10店舗を統括する立場になったので当時の私は有頂天でした。


ところが、初年度からチームは空中分解して過去最低の数字をだしてしまいます。
数字が下がるだけでなく、社員の退職者が増え、離職率が上がり、責任を取る形でわずか1年で部長降格です。

原因はワンマン経営で部下を信じることができず、テクニックや知識ばかりを部下にそのまま教え込んだことによるものです。

その後、4泊5日の社外研修に参加したことをキッカケで、「人づくり」の重要性に気づきました。

それから吉田松陰のことを知り、松下村塾の理念を知り、論語を中心とした人間学を学んでいったことで、人財教育における「本学」の重要性に気がついたのです。

それからというもの、まずは「心のあり方」を最初に教える人財教育のやり方を変えたのです。

いまお店の人財教育においてうまくいっていない方は、「末学」ばかり教えていないか振り返って見てください。
「末学」ばかり教えて「本学」を教えていないのなら、うまく行くわけはありません。
「本学」を教えないと「仕事」ではなく「作業」となってしまうからです。

まとめ

10年前、現場でやっていたころは、「サービスとは自らを高める行為そのものだ」ということを繰り返しスタッフ達に伝えてきました。

なぜなら飲食の現場は肉体的にも精神的にも辛いことが多いです。
だから、この「何のために」が明確でないと心が折れてしまうのです。

私は飲食の現場を通じて、本当に人として成長することができました。
だからこそ経営者や現場店長は、「働く第一等は何か」について、一人でも多くの若者に、「働く真の意義について」教えてあげてほしいと思います。


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店舗ビジネス業界のトップ3%をつくる、5店舗化プロデューサー
加納 聖士