5年後の財務状況を改善するために「時流適合」×「計数力」×「ブルーオーシャン戦略」の3本の矢を使いながら経営戦略を立ていくことをオススメしております。
これを「財務改善のための3本の矢」と呼んでいます。
今回はこの3本の矢について順番に説明していきます。
時流適合
「時流適合」とは、時間の経過とともに刻々と変化する時間の流れ・世の中の流れ=消費者のニーズにビジネスモデルや商品を合わせるという意味です。
時流に適合することは、財務状況を改善していくために最も効果的です。
これを身近なもので説明します。
まずはデジカメ、カーナビ、腕時計などです。
これら共通することはスマホの普及によっていま絶滅の危機を迎えているということです。
数字にも如実にあらわれています。
コンパクトデジカメは2010年には、国内出荷数が約1000万台、海外を含めた総出荷数1億台と最盛期を迎えていましたが、昨年2014年の調査では、わずか4年間で4割減少しました。
今のコンパクトデジカメならば経営の神様・松下幸之助氏でも、ソフトバンクの孫正義氏でも立て直すことは難しいと思います。
このほかにカーナビ市場も、腕時計もスマホの普及により瀕死状態です。
つまり“下りのエスカレーター”に乗ってしまうと、どんなにがんばっていても業績は上がらないのです。
一方で“上りエスカレーター”に乗っていれば簡単に業績を上げることができます。
この例からいまの主役プレーヤーであっても“時流適合”できてなければ、10年後、15年後はどうなっているかわからないのです。
そのため財務状況を改善しながら多店舗展開を図るには、マクロトレンドをつかみ、それを自社の経営(ミクロ)に落とし込むことが必要です。
時流に乗れば財務状況は一気に改善されていきます。
計数力
経営には数字がつきものです。
私は手前味噌になりますが、65店舗の数字を一人で管理して改善してきました。
だから経営数字は得意中の得意です。
とは言っても私は税理士でも会計士でもないので難しいことはわかりませんし、わかる必要もないと思っています。
でも、経営者として最低限、知らなければならない数字はあります。
少し厳しい言い方になりますが、経営に必要な数字を知っているだけでは幼稚園児、意味がわかるのが小学生、その数字を応用できてようやく中学生レベルです。
大人のレベルはそれを基に瞬時に問題点を発見し、状況を改善して数字を良くするところまでいきます。
1店舗の数字を把握するのが店長であり、複数店舗になればスーパーバイザー(SV)、全社的な視点で見るのが経営者です。
キャッシュフローを意識する
数字は難しいものではありません。
飲食店やサービス業に使用する計算は、店長も経営者も「+-×÷」のみです。
中学生程度の計算知識と電卓さえあれば大丈夫です。
必要な数字を修得するには「意味の理解」と「暗記」しかありません。
たとえば現場店長でも把握したいのがP/L(損益計算書)です。
Pはプロフィット(利益)、Lはロス(損)という意味です。
単純に一番上にあるのが売上です。
その売上から材料費などの原価を引いたものが粗利益、ここから人件費や水道光熱費、家賃や減価償却費などすべての経費を引いたものが営業利益となります。
この営業利益に、先ほど引いた減価償却費を再び足して、借入金の返済額を引いたのが手元に残る現金、すなわちキャッシュフローです。
いわゆる「償却後利益」というものです。
しかし、これはキャッシュフロー(手持ち現金)を把握するものではありません。
あくまでも数字上、帳簿上の利益を把握するものです。
キャッシュフロー計算書よりも資金繰り表の方が大事
手持ち現金を把握するには、このPLの他に、「キャッシュフロー計算書」というものを用意しなくてはなりません。
キャッシュフロー計算書で注意しなくてはならないのが借入金の返済です。
借入金の利息はP/Lに入りますが、借入金は基本的にP/Lに入れません。
なぜなら、経費として落ないからです。
このキャッシュフロー計算書に毎月の借入金の支払いを付け加えて管理すると「資金繰り表」になります。
経営者は基本的にこの資金繰り表を基にお金を管理したほうがいいと思います。
中小企業の経営者にありがちな「どんぶり勘定経営」では多店舗展開は怖くてオススメできません。
金融機関がいくらお金を貸してくれると言っても、「減価償却費+営業利益=キャッシュフロー」が借入金を含めるとマイナスになる額まで借りてはいけません。
銀行はあくまでも営利団体です。
借入金が多くなればなるほど、利息の支払いのために経営することになり誰のために働いているかわからなくなります。
多店舗展開には数字の裏付けは必要不可欠です。
5年後の自己資本比率から逆算して経営計画を立てる
経営にとって大事なことは、P/Lから異常値を探し「仮説、分析、判断」に結びつけることです。
前月と比較して極端な動きのあった数字などをいち早く見つけ出し、その原因を探って手を打っていきます。
このP/Lは「店がいくら儲かっているか」という結果を把握するだけでなく、このP/Lを使って、売上予測から各経費予算を出し、利益目標まで組んでから毎月の営業に望み、結果と照らし合わせて効果測定をするという取り組みまで持っていくことが大切です。
ちなみに私の多店舗展開でのシミュレーションでは、5年後の出店計画まであらかじめ立てた上で、各年度別のキャッシュフローから借入金を引いた当期純利益から売上予算や各経費の予算を立て、それを踏まえたうえで出店計画を立てていきます。
つまり計数力のゴールは、5年後の自己資本比率を高めるためにロードマップなのです。
ブルーオーシャン戦略
ブルーオーシャン戦略とは、簡単にいいますと、競争のない、あるいは競争の少ない市場でビジネスをする戦略です。
ブルーオーシャンに対する言葉がレッドオーシャンという言葉で、レッドオーシャンというのは、競争がたくさんあってライバルがしのぎを削っている市場ということです。
そこから抜け出して、自社独自の市場を作ってビジネスをすると非常に上手くいくという考えがブルーオーシャンです。
競争相手が少ない場所でビジネスすると「5つの効果」が期待できます。
- 価格決定権がある
- 収益性が高い
- 安定する
- 継続率が高い
- ストレスの少ない経営ができる
どれもこれも経営者視点で考えると素晴らしい効果です。
では、ブルーオーシャン戦略の肝になるのは何でしょうか?
それは二つあります。
一つ目は、“ポジショニング”です。
順に説明します。
ポジショニング
ポジショニングとは自社がどこのポジションに立つか、あるいは、自社や自社の商品はどのポジションに立つか、ということを工夫することです。
ライバルとはまったく違う土俵をつくり出すことで、ライバルとはぜんぜん違う、独自の市場をつくり出すことができます。
たとえばあなたが焼き鳥屋を開業するとしたら、どんな焼き鳥屋で開業しますか?
想定条件として、場所は決まっていて、道を挟んだ目の前には普通の焼き鳥屋が存在すると仮定しましょう。
ですから、少し異なったポジションで開業できないか考えてみることです。
たとえば、焼き鳥屋でいう「普通」とは何でしょうか?
- 顧客の多くは男性
- それも40~50代のサラリーマンに支持される
- 平均的な串の価格は120円
など・・・その業界における普通を書き出せるだけ書き出します。
ここから以下の3つの方法を使って独自のユニークさを見つけます。
反対にしてみる
まずは「反対に」してみましょう。
焼き鳥屋の場合だと、
- 男性中心だったら女性中心にするとどうなるか
- 40代~50代のサラリーマン中心だった顧客を20代~30代に受け入れられるにはどうすればいいか
- 女性お一人様でも入店しやすくするためにはどうするか
- 串1本の価格を平均500円にして顧客に安いと言わせるにはどうしたらいいか
などです。
ポジションを小さくする
次にポジションを思いっきり小さくしてみます。
焼き鳥屋の例では、お客様を女性に限定してしまうとかです。
さらにここから絞込み、20代の女性専用の焼き鳥屋というポジションにすれば、競合店の少ない唯一無二のお店が生まれます。
アパレルでも様々なジャンルを総合的に扱うのではなく「下着だけ」とか、さらに「男性用の下着だけ」に絞っていくとユニークさが生まれます。
意外な組み合わせ
最後が「A+Bの意外の組み合わせ」です。
平均的なものでも、別の意外な何かを組み合わせることでユニークなポジションを意図的につくることができます。
焼き鳥屋ですと先ほどあげた「焼き鳥+女性」の組み合わせや「焼き鳥+白ワイン」という組み合わせも意外性があります。
今の世の中には様々な業種業態が溢れかえっています。
いろいろな屋号と商品を単語カードに書いて、いろいろ組み合わせてみます。
「この業界に参入するとしたらこうするな」というのを常に考えていくのです。
今ある市場を再定義する
ブルーオーシャン戦略の肝になる二つ目は今ある市場を再定義することです。
例えば飲食店ならばお客様に提供している価値を書き出してみます。
「味×景色×値段×雰囲気×接客×待ち時間」などいろいろなポイントがあると思います。
競争が激しい業界の場合はどの店も、重要視するポイントは似てきます。
そこで市場を再定義するときは、重要視するポイントを選択することです。
例えば「景色×雰囲気×接客」は重要視せずに、「味×値段」をライバルよりも重要視したりします。
そういったやり方で誕生したのが、「俺の~」系列の飲食店です。
つまりブルーオーシャン戦略とは、お客様に提供する価値を取捨選択することです。
QBハウスもお客様に提供する価値を取捨選択してあの低料金を実現させることができました。
しかし、ブルーオーシャン戦略も最強ではありません。
最初は1社だけだったブルーオーシャンにも、必ず模倣者が現れます。
いずれ必ずレッドオーシャンになります。
そのため複数のブルーオーシャン事業(成長期ビジネス)と組み合わせながら多店舗展開を図ります。
まとめ
多店舗化を図る基本戦略は財務改善です。
たとえば現在の経常利益が3%ならば、5年後に5%になるように計画を立てて出店していきます。
社長のシゴトはあくまでも会社の未来をつくることです。
だからこそ経営者自身が事業に組み込まれなくても会社が回る仕組みを作り、より社長業に専念しなくてはなりません。
そして時間創出後にやってほしいのはまずは財務改善です。
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加納 聖士