エブリイグループは広島県福山市に本社を置く、スーパーマーケットや外食、宅配、農業法人事業など合計10社で手掛け、食の総合プロデュースを行う企業グループです。
そのなかでも中核を担うスーパーマーケット事業の株式会社エブリイは「15期連続2桁増収」「8期連続増益」、上場企業と比較した指標では、「12mあたり売上高、12mあたり営業利益、在庫回転率、総資産回転率、ROA(総資産利益率)、ROE(自己資本利益率)が全国1位」という大きな成果を残しています。
実は、こうした大きな成果の原動力には、類人猿分類を用いた、スタッフ一人ひとりの個性を活かす人材活用術にあったといいます。
エブリイグループの躍進とともに、類人猿分類は『ガイヤの夜明け』『とくダネ!』などのテレビ、新聞、ラジオ、インターネットで取り上げられ、一気に注目を浴びることになりました。
そこで今回は、エブリイの類人猿分類による人材活用術について述べています。
類人猿分類してみよう
あなたは4つの類人猿のどのタイプでしょうか?
オランウータン、ゴリラ、チンパンジー、ボノボの4つのエリアの中で、自分にとってもっとも違和感のないエリアを選んでください。
横軸は、「人生において大切にしていることは何か?」です。
冒険はせず、現状維持で安定、安心を求める(右)か、物事を追求・達成することを大切にしているか(左)かを選びます。
続いて縦軸は、「感情を表に出して表現するか、しないか」です。
表に出して表現する(上)か、あまり表現しない(下)かを選んでください。
横軸、縦軸の2つの質問がクロスすエリアが、あなたの類人猿タイプです。
上記の簡易診断以外にも、精神科医 名越康文氏の類人猿分類診断がWebサイトにあります。
類人猿分類診断
30秒で終わるので答え合わせも兼ねて実際にやってみましょう。
深く考えすぎると正しい診断にはなりませんので、あくまで直感的に答えてみて下さい。
みんな違ってみんないい
人間は他人から認められたり、褒められることによってモチベーションが上がり、よりその本来の能力を発揮することができるようになります。
しかし、「どのように褒められたいか」「どこを認められたいか」は、人それぞれ違います。
- チンパンジータイプは、「君のおかげで成功したんだよ!」と自分自身にスポットライトをあててほしいと思います。
- オランウータンタイプは、「あのアイデアはすごかったね。誰も思いつかなかったよ」と、自分自身よりも仕事のプロセスを認めてほしいです。
- ゴリラタイプは、「丁寧に調整してくれたおかげで、チームが一体になれたね」と自分自身の活躍よりも、チーム全体の調和を喜びます。
- ボノボタイプは、「このチームで一緒に仕事ができて、みんな本当に楽しそうだったね!」と、仕事の成果よりも場の空気や喜びといった感情を大切にします。
このように人が集まるところでは、互いにほめ、認め合うことがチーム力を高める上で大切であることは、誰もが認識しています。
しかし、互いのタイプの違いを無視すれば、せっかくの声かけも、相手の心に響いてはくれないのです。
以下、それぞれのタイプ別の特徴をさらに彫り下げていきます。
職人気質のこだわり屋、オランウータンタイプ
オランウータンの強み
- 自分で納得したことには、高い集中力を持って取り組みます。
- 他人の意見に流されず、自分の信じた道を歩くため、他のタイプにはできない独創的な仕事をすることができます。
オランウータンの弱み
- 「なぜこれをやるのか」「なぜこのやり方なのか」ということを納得しないと、簡単な仕事であっても、手をつけ始めることすらできません。
- 内に秘めた情熱があるのに、感情を表に出して表現しないため、周囲から誤解を受けてしまうことが少なくありません。
オランウータンに響く言葉
- 「この売り場は〇〇さんに任せたので、自分のカラーを出した売り場を作ってください」
- 「これまで誰も思いつかなかった陳列だけど、〇〇さんの分析を聞くと、確かに来店動機につながりそうですね」
- 「今度の戦略会議で発表したいので、なぜ今回の節分祭がうまくいったか、データを分析して理由を調べてもらえますか?」
- 「商品Aの1時間あたりの製造数を現在より15%アップさせたいのですが、〇〇さんの分析で、改善案を出してもらえますか?」
- 「節分祭があんなにスムーズだったのはなぜですか? 具体的にどういうところを工夫したのですか?」
- 「やっぱり〇〇さん、センスが素晴らしいですね!」
- 「〇〇さん、君の担当部門、1月は前年対比11%伸びているね。すごいね。具体的に何がよかったんだと思う?」
- 「へえー、なるほどね。これは〇〇がポイントなんだね」
- 「〇〇さん、刺身売り場の陳列、ちょっと変えたんだね。どんな工夫をしたの?」
オランウータンタイプは自分のこだわりポイントを的確に認めてほしいです。
安易な評価や賞賛よりも「納得」を大切にします。
オランウータンが言われると嫌な言葉
- 「もうちょっと空気読んでよ!(空気を読むってどういうこと?)」
- 「お前は、石頭だな~。ヘルクツはいいから、とにかく言われたとおりにやれよ!(自分のやり方のほうがいいという確信があるからいってるのに)」
- 「〇〇さん、さすが! 〇〇さん、すごい!(個人にスポットライトを当てられてもうれしくない。そんなことより、自分がこだわったところをしっかりわかってほしい)」
- 「大変そうだね、大丈夫?(ただ漠然と質問されても「はぁ」としか答えられません。手伝ってほしいときは自分から頼みます)」
- 「考えてる暇があったらとにかく動いてよ!(やっても意味のないことは、やりたくありません)」
- 「〇〇君、とにかくマニュアル通りにやってくれる?(マニュアル通りにやっていれば、結果が悪くてもいいの?)」
- 「指示したことだけ、やってればいいからね。簡単でしょ?(指示されたこと以外をやるのが楽しいのに・・・)」
- 「オリジナルティはいらないよ、とにかくみんなと同じようにやって! 和を乱さないようにして。(みんながやってないことだからこそ、やってみたんです)」
オランウータンタイプは自分のこだわりを出せないのはおもしろくありません。
納得できないまま褒められても嬉しくないのです。
オランウータンへの声かけのポイント
自分が納得していればそれでいい、というのがオランウータンであり、感情表現も豊かではないので、一見、他人からほめられようがけなされようがまったく気にしていないように見えます。
しかし、そんなオランウータンでも、周囲からの声かけを気にしないわけではありません。
むしろ、的確な声かけであれば、オランウータンは大いにやる気を出します。
褒めるポイントがわかならければ、いっそのことオランウータン自身に「どこがポイントだったのか」を聞いてみるのも有効です。
もしこだわっているポイントであれば、オランウータンは喜んで教えてくれるでしょう。
平和主義の安定志向、ゴリラタイプ
ゴリラの強み
- 争いごとを好まず、激しく自己主張することなく全員のバランスを取り、組織の秩序を守る調整役を担うことができます。
- いわれたことはきちんとこなします。
- ルーティンワークを黙々と続けるのは得意です。
- 他人に対する自然な敬意があり、落ち込んだ人をさりげなく元気づけたり、力を発揮できるようにサポートすることが上手です。
ゴリラの弱み
- 小心者で、急なアクシデントやトラブル、イレギュラーな事故が起きると動揺して、重要な決断を下せなくなってしまうことがあります。
- 融通が利かず、ちょっと頑固なところも。特にルールや秩序を守ることにはうるさく、周囲にとっては面倒に感じられることもあるでしょう。
ゴリラに響く言葉
- 「◯◯店のチームワークの良さとスタッフ一人ひとりの頑張りは◯◯さんが店長しているからでしょうね」
- 「今回の成果がでたのは、スタッフみんながレベルアップしてくれたお陰だね。みんなに『ありがとう』って声かけるね。〇〇さんがみんなを指導してくれた努力が実を結びましたね」
- 「そこまでしっかり話をしてくれているんですね。そういうことが、◯◯部門全員の意識の高さにつながっているんですね」
- 「レジのスピードアップが店全体の売上に貢献しているよ。ありがとう」
- 「さすが、〇〇さん、昨年の実績を今年の計画にしっかり活かしているね」
- 「朝一番にきて備品の整備をしてくれてありがとう。いつもしてくれているよね。〇〇さんが陰で動いていてくれるからみんながスムーズに仕事に入れるよ。感謝、感謝だよ」
- 「〇〇さん、ミーティングの件、日程調整と議事録つくりをしてくれてありがとう。おかげで円滑に進み、みんなで向かっていく目標を共有できたよ。ほんと助かりました」
- 「〇〇さんの気遣い、みんな喜んでいたよ」
- 「◯◯部門のことだけでなく、店全体のことを考えてレジ応援やカゴ・カート整理もよくしてくれていますね。サービス部門のみんなも助かっていますよ」
ゴリラタイプは全体の調和を大事にします。
また突発的なトラブルが起こらないように入念な計画や準備を怠らないようにしています。
ゴリラが言われると嫌な言葉
- 「声が小さい!売る気あるんか?」
- 「とにかく体当たりでぶつかっていけ!」
- 「お前、反応が鈍いよ・・・。手応えのないヤツだな」
- 「さすが、〇〇さん! よっ!〇〇大卒!! やっぱり違うな~本部社員!(個人の経歴のことより、毎日コツコツ細かい努力をしていることを認めてほしい)」
- 「任せるよ。(何を?どのように?いつまでに?上司はどの程度の内容を求めているの?わからないと計画も立てられない)」
- 「あとは適当にやってくれる?(入社3か月なので適当といわれてもわかりません。細かく指示してもらないと困ります)」
- 「とにかく見て覚えろ!(一応真似するけど、ちゃんと説明してくれないと本当に正しいのか不安になるな~)」
- 「〇〇さんの自由にしていいよ!(何を求めているのかわからない。どうしていいかわからないく不安だな)」
- 「期待しているから、がんばって!(わたしのペースでコツコツやりますので、あまりプレッシャーかけないでください)」
- 「もっと目立たないと!!そのままじゃ、評価されないよ!(目立つのは苦手です)」
ゴリラタイプは曖昧な指示だと相手の意図が見える不安になります。
そのため何をしてほしいのか、細かく指示してほしいのです。
相手の要望に合わせるのが得意なのがゴリラです。
ゴリラへの声かけポイント
ゴリラタイプが求めているのはチーム全体の調和です。
小心者のゴリラは、常にイレギュラーなトラブルが起きないように、全体に気を配って日々を過ごしています。
ですから、何か成果が上がっていたとしても、それが自分の手柄のように持ち上げられることは好みません。
もちろん、うれしくないわけではないのですが、そうやって自分一人が目立って周囲から疎まれたり、チーム全体の和が崩れたりしてしまうことを、ゴリラタイプは恐れているのです。
よって、ゴリラタイプに声をかけるときには、本人だけではなく、チーム全体を含めた評価をすることが重要です。
また、目覚しい成果や飛び抜けた成績よりも、「ずっと変わらない」「安定している」という評価を好みます。
また、指示はできるだけ具体的に「これをいつまでにこんなふうにやってほしい」とハッキリと示しましょう。
「自分の判断で適当にやってよ」「自由にやっていいよ」という声がけはゴリラタイプには禁物です。
ゴリラタイプは、礼儀を大事にします。
声をかけるときはきちんと相手の顔を見て、「ありがとうございます」と感謝の意を伝えることを忘れないようにしましょう。
勝ち負け重視で社交的、チンパンジータイプ
チンパンジーの強み
- 高い社交性で周囲の人を巻き込みながら、エネルギッシュに物事を進めることができます。
- 理屈っぽく思い悩むことなく、すばやく行動に移す実行力があります。
チンパンジーの弱み
- 「勝ちたい」「先手を取りたい」という思いが高じて熱くなってしまうと、視野が狭くなりがちです。
- つい短絡的な手段に頼り、大きな失敗をしてしまうことも少なくありません。
- 感情的で起こりっぽく、自分の思ったとおりにいかないときには同僚や部下にあたってしまうことがあります。
チンパンジーに響く言葉
- 「〇〇さんだから頼むんだよ。〇〇さんじゃないとできないからね!」
- 「〇〇については、もう、君の右に出る者はいないな」
- 「今回はうまくいかなかったけど、僕は〇〇さんの力を信じているからね。次はきっとうまくいくよ」
- 「〇〇さんがチームに入ってくれてからスピード感が上がったよ!チームのエンジンとしてこれからもよろしく!」
- 「市場での仕入れ値が抑えられているのは君が良い人間関係を築いてくれているからだね。さすが、交渉力があるね」
- 「君の頑張りのお陰で店の評判があがっているよ。成功事例がつくれて嬉しいよ」
- 「えっ!もうやってくれたん!やっぱり、〇〇さん、すごいわ!」
- 「節分祭の巻き寿司の展開があんなにスムーズにいったのは君の指示が素晴らしいからだね」
- 「すごいな~!〇〇さん、やっぱり力あるな~!」
チンパンジータイプは勝ち負けを重視します。
自分があげた成果については、必ず誰かに評価してほしいです。
チンパンジーが言われると嫌な言葉
- 「まあ、誰でもいいんだけど、そこのあなた、やっといてくれる(集団の中で評価されていないと序列が低いと感じてモチベーションが上がりません)」
- 「バタバタ動くな。じっくり考えてから動けよ」
- 「期待はずれだよ。君にはがっかりだな!」
- 「同期の〇〇さんとまた差がついたな~」
- 「相談してから行動してよ!(そんなことしてたらスピードが遅くなるだろ!)」
- 「勝手に動くな。それは後でいい。(じゃあ、もうちょっと早く指示を出してくれよ!)」
- 「今回結果が出たのは、たまたまだ。根拠がなければ次につながらないから意味がないよ。(結果が出たのに評価されないなんて・・・)」
- 「あんたには、任せられない。担当代わって!」
- 「気づいた人がやってね。(評価の可能性が低い仕事はやりたくない)」
- 「何考えているんだ。そんなこともわからんのか。使えないな~。(俺、この会社じゃちゃんと評価してもらえないかも・・・。もうダメだ)」
チンパンジータイプは自分が評価されていないと感じるとかなり落ち込みます。
そして強そうに見えても意外とガラスのハートです。
ナイーブなんで取り扱い注意です。
チンパンジーへの声かけのポイント
チンパンジーが求めているのは「他人からの評価」です。
感情を表に出し、勝ち負けを重視するチンパンジーは、ストレートに褒められることを好みます。
そのポイントは「本人」と「成果」にスポットライトをあてることです。
実際に成果が上がっていることについて、「その成果が上がったのはあなたのおかげだ」と認められることを、チンパンジーは求めています。
逆にいえば、いくら暗黙のうちに認められていたとしてもダメで、自分が達成した仕事については言葉に出して認め、褒めてもらいたいのがチンパンジーです。
もう一つのキーワードは「序列」です。
チンパンジーはライバルに勝った、他者との序列でひとつでも自分の順位を上げることが最大の関心事であり、そのことを他者の言葉によって確認したいのです。
ですから成果の上がる可能性が低い仕事はもちろんのこと、やっても評価が上がらない仕事には興味を持ちません。
仕事を頼むときには、「あなたにしか頼めない」「あなたならきっとすごい成果に結びつく」ということを強調しましょう。
感情豊かなムードメーカー、ボノボタイプ
ボノボの強み
- 他者の感情に共感する能力が高く、コミュニケーションが上手です。
- 場の空気を明るくする力があり、チームのムードメーカー的役割を担うことができます。
ボノボの弱み
- まわりの人が自分の気持ちに同調してくれないと寂しくなり、仕事に集中することもできなくなります。
- 感情が優先するので、順序だてて物事をこなすのが苦手です。
ボノボに響く言葉
- 「そのままの〇〇さんで大丈夫。しっかりサポートするから、がんばろうね」
- 「朝の立ち上げの忙しいときにいろいろ教えてくれて、ありがとう。POPや競合店調査については他の部門でも共有させてもらうね」
- 「〇〇さんと仕事ができてうれしいな」
- 「〇〇さんが抜けて、大変だろう・・・。休みの日は、しっかり寝て休養している?それが一番の心配事だよ」
- 「わたしも手伝うから一緒に頑張ろうな」
- 「予想以上に売れてすごいね!売上もだけど、お客様がとても喜んでくれたことが嬉しいよね!」
- 「すごい!みんなの気持ちが一つになった証拠だね。ほんとうに素晴らしい。みんなが楽しそうに仕事をしているのを見るのは私もうれしいよ」
- 「〇〇さんが入社してきてくれてからチームが明るくなったよ。みんな〇〇さんのことが大好きで応援しているからね!」
ボノボが言われると嫌な言葉
- 「あなたの説明は支離滅裂でよくわからない。(私のこと嫌いなの?話を最後までちゃんと聞いてよ)」
- 「あなたの気持ちはいいから結論は何?(気持ちが一番大事なボノボにとってはつらい)」
- 「仲間なんて甘いよ。とにかく、人を蹴り落としてでもNO.1になれよ。(仲間と協力してやっていくのが一番大事。こんなこと言う人は信じられない)」
- 「これ、〇〇さんに任せるから責任もってミスなくやってくれる!(任せるって、私一人の責任が重くて不安・・・)」
- 「あなたがそう思うのはどうして?どういう理由から?論理的に説明してよ。(直感だからそんな気がするとしか言えないよ)」
- 「わかるように説明して!(あんなに気持ちをこめて伝えたのに・・・伝ってなかったなんでショック!)」
- 「〇〇さんが決めてくれる?(え?そんな大事なこと私が決めるの?)」
ボノボタイプは感情の共感が一番大事なので、自分の気持ちに「共感」してもらえないことが一番つらいんです。
問題解決より、気持ちをわかってもらえることが大切です。
またボノボタイプは相手の心に寄り添い、雰囲気作りをすることが得意です。
ボノボへの声かけポイント
ボノボが求めているのは「共感」です。
具体的な成果や、「〇〇が××よりもすごい」といった序列ではなく、その場の雰囲気が温かくなり、互いに思わず笑顔がこぼれるような空気になることを求めています。
また、現実的に問題が解決するかどうかよりも、「一緒にやってくれること」「一緒に考えてくれること」がボノボにとって大切です。
ですから、ボノボに声をかけるときには、「すごい!」「よかったね」「うれしいね」といった、感情に訴える言葉を使いましょう。
また、仕事の成果についても「売上があがった」といった数値について褒めるよりもむしろ、「お客様に喜んでもらえた」「みんなが楽しんでいる」「チームの気持ちがひとつになった」といった言葉をかけるほうが、ボノボには響く傾向にあります。
仕事の現場では往々にして、感情よりも数値や論理が重視されがちですが、そういうビジネス用語を駆使した声かけだけでは、ボノボのモチベーションをあげることはできません。
平成8年当初は6年連続の赤字
株式会社エブリイは現在「15期連続二桁増収」と順調に業績を伸ばしています。
しかし現社長の岡崎雅廣氏が事業を引き継いた平成8年当初は6年連続の赤字でした。
当時は職人気質でコミュニケーションの苦手なスタッフが多く、互いに挨拶もできず、職場環境もよろしくなく、チームワークの悪い会社でした。
そこで、
- 「スタッフがイキイキ働ける環境を作りたい」
- 「人の力を最大限引き出せる、そんな企業にしたい」
- 「『個』の集まりではなく、『チーム』にしたい」
という想いから、「人創り」を企業の大きな柱に掲げたそうです。
「適材適所」を考えることにより、仕事の効率と質は格段にあがった
そんな想いで取り入れたのが、人材研修プログラム「類人猿分類」でした。
正式に企業研修に導入して6年目を迎えましたが、想像していた以上の効果があったそうです。
たとえばあるレジ統括のチーフは受講後に、部下への指示の仕方に変化が出たといいます。
- 効率化を考えるときはオランウータンタイプのAさんへ。
- 最終チェックは用意周到で慎重な準備を怠らないゴリラタイプのBさんへ。
- はじめての試みは切り込み隊長であるチンパンジータイプのCさんへ。
- 悩んでいるスタッフのもとへは感情豊かなボノボタイプのDさんへ、仕事を振るようにしました。
タイプによって「適材適所」を考えるようになった結果、仕事の効率と質は格段にあがり、またスタッフも、自分の得意な仕事を任されることで、以前よりも生き生きと、楽しそうに仕事をするようになったそうです。
2014年新卒入社38名の離職者0
人事面談でも「この人はどのタイプか」を見極め、職種や配属先を検討するようになりました。
異動や新規店舗出店時のチーム作りの際も、4つのタイプがなるべく偏らないようにチームを作ることによって、各タイプの個性が発揮されやすい企業体質が生まれました。
この結果、一般的に離職率が高いといわれるスーパーマーケット業界で、株式会社エブリイは2014年新卒入社38名の離職者0、人材不足といいわれる中、2016年新卒内定者は過去最高の160名(2015年8月現在)と多くの人材を確保することができています。
また、パートスタッフさんの約25%は社内からの紹介です。
店舗の雰囲気が明らかに良くなり、企業の体質が変わっていきました。
「個」から「チーム」へ。
他人との「違い」を「個性」と認められる企業集団へと変わりはじめたのです。
まとめ
実際の類人猿の世界では、4つのタイプが互いに交流することなく、同タイプが集まって生活しています。
ですが人間社会では、まったく異なる4つのタイプが、1つの社会という森に暮らしています。
4つの異なる感受性、行動パターンをもった類人猿たちが、1つの森で共同生活しているわけですから、互いの性格の違いを理解し、認め合い、その強みを活かし、弱みをフォローし合うことができなければ、あっという間にパニックになるか、互いが互いを憎み合い、争いや誤解が絶えない社会となってしまいます。
バリエーション豊かな生活特性を与えられた私たち人間が、互いに理解し、それぞれの強みを活かして集団としてパフォーマンスを高めていくためには、「類人猿分類」のような性格分類は強力なツールとなるでしょう。
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加納 聖士