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大手外食チェーンが飲食店の接客をホテル並みにしてしまった!

タイトル画像:大手外食チェーンが飲食店の接客をホテル並みにしてしまった!

外食産業と言っても、ファーストフードからディナーレストランまで客層も客単価もさまざまです。
本来ならばそれに応じた接客サービスがあるはずです。

しかしいつのころか、日本の大手外食チェーンが飲食業界の接客をホテル並みにしてしまいました。
今回は飲食店における接客サービスについて考え、個人店が大手に勝つためにどのような接客をしていったらいいのかについて述べてみます。

丁寧なお辞儀?をする居酒屋とファーストフード

ワタミの接客マニュアルではお辞儀(30度)のタイミングが3回あると記載されています。

  • まずは入店時のおしぼりを渡すとき
  • 次にお会計のレジのとき
  • 最後がお見送りのとき、です。

徹底されているか、徹底されていないかは別としてマニュアルにはこう書かれています。

マクドナルドもこの辺は厳しく、店舗によっては毎日のように挨拶やお辞儀の練習、接客7大用語のテストなどをおこなっている店もあります。

もちろんご年配のお客様ならばファーストフードから高級レストランまで利用された方もいらっしゃると思いますので、高い接客サービスというものも知っています。

しかしこの点を差し引いたとしても丁寧なお辞儀は高級レストランでは要求されると思いますが、ファーストフードや居酒屋に求められているのでしょうか?

スタバの心地よさ

最近、スターバックスをよく利用しますが、そのサービスの自然なことに心地よさを感じます。
ディズニーランドの接客と同じ心地よさです。

スターバックスコーヒーのサービス

アメリカの外食企業のオペレーションマニュアルでは、日本のような細かいサービス指導の表現は見当たりません。
ご来店いただいたお客様を「思いっきりもてなそうと」は書いてありますし「カスタマーファースト」という表現はあります
が、日本の大手チェーン店のようなお辞儀の角度は何度とかは書かれていません。

スターバックスには接客マニュアルというものがほとんどありません。
もちろんコーヒーの入れ方や接客サービスの最低限の基本は、新入社員教育で教えているそうですがそれ以上のものは存在しないのです。

その代わりに初歩教育の「エクスペリエンス」というシステムがあります。
エクスペリエンスとは、自分の過去の感動体験を思い出してカードに書き、それに基づき、参加者が意見交換やディスカッションを行い、

  • 何が自分を感動させたのか?
  • お客様の感動とは一体何なのか?
  • その状態を実現するには何があればいいのか?
  • 具体的には何をすればよいのか?

を議論させる仕組みです。

もちろん正解はなく、ファシリテーターの問いかけによる気づきと、参加者自身で考えることが重視されています。
あるべき姿はアルバイトも含め、社員一人一人が自分で考えるのがスタバ流です。

これはディズニーリゾートのキャストも同じです。
ことサービスに関してはあまり枠にはめすぎず、個々の感性を引き出すことが大事です。

効率を考えた大手チェーンの接客

大手外食チェーンは2000年以降ハンディーを導入し、管理効率をいかに高めるかを求めてきました。

ポスレジで商品の出数を分析し、マニュアルを導入し、効率のよいオペレーションを組んで、いかに人件費を掛けないでどう店舗を運営するか?
これらをトコトコ考えて店舗運営を行ない、結果、店には大きな利益を生み出しました。

それは、画期的で素晴らしいことでした。
しかし、昨今、効率を考えた店舗ではリピーターを呼ぶことは難しく、継続的な繁盛に結びつかないという現状も今の外食産業事業から見えてきました。

たしかに何事も効率的に、という考えはすごく大事です。
私も大手FCチェーンを経験してきましたので経費の1%の重みはよくわかります。

しかし大手チェーンに見られるような画一的な接客、画一的な商品に消費者には飽きが来ているのです。
これからの時代は少し非効率ですが、店長、スタッフの「人間力」で勝負する時代になっています。

「感じのいいなぁ」という感情を引き出す

前述したようにスターバックスでは「エクスペリエンス」という仕組みを使って、アルバイトも含め、社員一人一人が顧客感動とは何か追求させています。

私は接客サービスをクライアント先で指導するとき、「感動」よりお客様に「感じがいい」と思っていただける接客を追求しよう、ということを強調します。

ディズニーランドキャスト


つまりお客様がこのお店は「感じがいいなぁ」と思ってもらって、「感じがいいなぁ」という感情になってもらうことがゴールです。

感じの良さとはたとえばお客様が来店したとき、レジの内側に立って「いらっしゃいませ」とアイサツするのが普通のお店だと思いますが、そこから2~3歩出ていって「いらっしゃいませ」と声をかけるほうが「感じがいいお店だなぁ」と思っていただけます。

レジの内側で待っていた方が効率はいいと思いますが、これだと「感じのよさ」を伝えることはできません。
その2~3歩が非効率かもしれませんが、お客様に「ウエルカム感」を感じてもらうことはそれ以上に大切です。

「トイレどこ?」と聞かれた場合も同じです。
効率を優先するのであれば「あちらです」とトイレの方角を指で指し示せばいいです。
しかしトイレの場所を知らないということは、初めて来店されたお客様だと思います。
だからこそ「ご案内しますね」と笑顔で近づいて、トイレの近くまでご案内したほうが「感じのいいお店だなぁ」と思ってもらえるのです。

つまり非効率の行動こそ、感じのよさを伝える最大の行為なのです。

感情に重きを置いたマニュアル

私は「非効率な部分」と「効率」をプラスすることで、継続して繁盛するお店ができると思っています。
だからこそ、それぞれの接客シーンでどうすればお客様が「感じがいい」と思っていただけるか、スタッフ全員で考えて、それをお店のマニュアルにします。

つまり行動に重きを置いたマニュアルを作るのではなく、お客様が「感じがいい」と思ってもらえる感情に重きを置いたマニュアルを作るのです。

笑顔の接客

働いているスタッフも、お客様を分析し、ニーズに応じた接客を心がけたほうが楽しいはずです。
お客様に本当に楽しい時間を提供するためには、自分たちもエンジョイしなければなりませんね。

マニュアルの是非を問う

最近の大手外食チェーン店は元気がありません。
その理由はマニュアルにあるでしょう。
何々はしてはいけない、何々をしなさい、そんなことばかり言われて元気に仕事などできるわけがありません。

元気のない従業員が働いているお店など、誰だって行きたいとは思いません。
とは言っても私はフランチャイズの専門家としても、サービスマニュアルを全面否定しようとしているわけではありません。

なぜなら組織として集団が働き始めるとき、マニュアルは必要不可欠だからです。
「しなくてはならないこと」を知らずに、集団に属する個々のスタッフが、思い思いに行動することは、何かの目的を持った組織にとって非効率な状態を作りだします。

ではマニュアルはなぜ必要でしょうか?

私の考えでは、マニュアルは組織を作るとき、もしくは個人がその組織に入り、早く、低いレベルで戦力とさせるときは有効であって、その本質を身につけた者にとって、マニュアルは百害あって一利もない不要なものになるのです。
ですからマニュアルを身に付けるとき最も必要なことはそのマニュアルを早く覚えることではなく、そのマニュアルに書かれている目的を理解させることなのです。

まとめ

人は自ら考え、行動するときに元気になります。
なぜなら一人ひとりがかけ替えのない、それぞれの人生の主人公だからです。

お客様の喜びを自らの喜びとし、お客様の悲しみを自らの悲しみにするお客様の喜びの実現のために、自らひたすら考え、自ら真摯に行動する

お客様を思う心は同じでも、その表現の仕方は100通り、1000通りと、その方法があってもいいと思います。
お客様だけのことを考えていれば、自然に「ああしたい、こうしたい」が生まれてきます。

スターバックスコーヒーの店員

私はスタッフから「ああしたい、こうしたい」と言わせる雰囲気を作ることはとても大切なことだと思います。
そしてこの気持ちにさえしてあれば、飲食店にホテル並みの接客は必要ないのです。

必要なのは「ああしたい、こうしたい」というスタッフの想いです。
このような雰囲気を作ることこそ経営者や店長の大切なシゴトです。

スタッフ全員がお客様だけを見ている、そんなお店が理想です。
そんな温かいお店が1店でも増えるといいですね。


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加納 聖士