繁盛店には必ず看板商品というものがあります。
看板商品とは、単純に商品として売上につながるだけではなく、店の顔となり、自然に営業までしてくれる強力なツールです。
商品の差別化は誰もが言うことですが、実は、ほとんどの飲食店ではこの努力がなされていません。
商品の差別化とは、たんに他店と違うというだけではありません。
顧客を引きつけてやまない魅力を備えたオリジナリティーを持つことです。
今回は、飲食店における看板メニューの作り方と主力カテゴリーについて述べさせていただきます。
看板商品の原価は60〜70%かける
看板商品を作るためには50%以上の原価をかけることです。
でないと集客力につながらないからです。
たとえば札幌のススキノにある、居酒屋はちきょうの看板メニューは「いくらの醤油漬け丼」の原価率は60~70%ほどです。
この看板メニューはTV・雑誌に取り上げられ、お店を来た多くの顧客がブログやSNSにアップする名物商品です。
つまり「はちきょう」はこの看板商品があるため、お客様が優秀な営業マンになってくれるのです。
このお店、食べログの口コミ件数は224件もあり、評価も☆3.54の大繁盛店です。(2015年10月2日時点)
この人気の秘密は提供方法もじつにユニークだからです。
店員がたっぷりのイクラが入ったボールをもってテーブルにやってきます。
そしてルール説明をした後、「おいっーさー、おいっーさー」の掛け声とともに山盛りにイクラを乗せていきます。
この間、店内からは掛け声に合わせた拍手も掛けられて、大変な盛り上がりになります。
看板商品を作るときには原価率はおいて、このインパクトが必要ですが、お店全体の原価率は35%に収まっているといいます。
つまり粗利益率の高い商品と低い商品を組み合わせる「粗利ミックス」によって原価を抑えているのです。
看板商品の効力と設計上のポイント
看板商品の効力をまとめますと、
- 新規のお客様を獲得することができる
- 口コミでお店の情報が拡散される
- マスコミに紹介される
- お客様が「年に一度(忘年会)行く店」の候補となる
- 久しく店へ足を運んでいただいていない、消滅しそうなお客様を復活させることができる
どんなお店においても、「看板商品」を持っているのと、持っていないのでは、お客様を口コミさせる場合において、まったく異なる結果をもたらします。
だからこそ、皆さんのお店でもぜひ検討してみてください。
看板商品のポイント:
- 度肝を抜くほどの目立つ商品・サービスはお客様の記憶にのこる!
- 度肝を抜く商品を見ると、お客様は誰かに話したくなる!
これを覚えておくだけでも、飲食店の集客、売上に役立ちます。
繁盛店の看板商品は6つのパターンがある
繁盛店の看板商品を分析してみますと大きく分けて6つのパターンにわけられます。
【パターン1】インパクトのある見た目(一般サイズ×1.7倍)
【パターン2】ありそうでなかった組み合わせ
【パターン3】シズル感で売る
【パターン4】切り方や調理法の工夫でのインパクト
【パターン5】食べ方提案
【パターン6】お客様の好みに合わせてカスタマイズ
順番に解説していきます。
【パターン1】インパクトのある見た目
パターン1の「インパクトのある見た目」は、看板商品としてもっとも典型的でよく使われます。
「外見」という、パツと見ればわかる、目にものを言わせる要素は、相手を選びません。
そして、誰でも理解が可能です。
モノを見る目、すなわち、食への多様な価値観をまったく必要としないため、見込客を幅広く想定できます。
誰でも思い浮かべる「インパクトある見た目」のパターンは、
▼デカメニュー
▼姿づくり
▼形状の変更
▼ありえない食器
▼グルメ食材をふんだんに使う
▼目の前で仕上げる
このようなメニューはわかりやすい美味しさであり、 わかりやすい看板商品になります。
みなさんのお店でも、「インパクトのある見た目」メニューに挑戦してみましょう。
【パターン2】ありそうでなかった組み合わせ
パターン2の「ありそうでなかった組み合わせ」は、AとB。
つまり、それぞれ個別にはよく口にするけど、いっしょに食べるとなると、ちょっと抵抗がある、変わった組み合わせのことです。
でも食べてみると意外においしい!そんなメニューです。
たとえば、
- クリームチーズ×おかか
- ハンバーグ×パンケーキ
- 桃×モッツァレラ
- バニラアイス×ブラックパッパー
- 肉団子×ジャム
- 豆腐×ヨーグルト
- ベーコン×メープルシロップ
- うなぎ×梅干
- 味噌汁×ヨーグルト、などです。
このようなエッ、て驚くような組み合わせであるほど、口コミで拡散されやすくなります。
ぜひ挑戦してみてください。
【パターン3】シズル感で売る
パターン3は「シズル感を売る」です。
人は料理から感じることのできる「温度」「音」「香り」「色」に食欲本能を刺激されます。
五感のなかでもとくに人間の情報は、視覚から得るものが8割だと言われています。
鉄板の上でジュージューと音を立てて焼かれる「ステーキ」や、クラッシュアイスがたっぷり敷き詰められたうえに盛られた「刺身」等、シズル感のある鮮度の高い料理には特に食欲をかき立てられます。
- 肉ならば、滴り落ちる肉汁、肉のジューシーさ、焦げ目、肉の焼ける音・・・
- 温かい料理、飲み物ならば、食品から立ち上る湯気、焼ける煮える揚げる音・・・
- 冷たい料理、飲み物ならば、食品まわりの冷気、表面の水滴、グラスに当たる氷の音・・・
- 果物や野菜ならば、表面の水滴、切り口の水滴、果物や野菜を切る音などもシズル感といっていいでしょう。
これらをお客様に感じてもらえるような提供方法をぜひ考えてみてください。
【パターン4】切り方や調理法の工夫でのインパクト
パターン4は「切り方や調理法の工夫でのインパクト」です。
食材の切り方や調理法を変えるだけでもお皿にのせたときの印象が変わります。
たとえば切り方では「分厚いとんかつ」メニューの開発です。
通常とんかつの厚さは2センチほどです。
これを倍の4センチにするだけで見た目のインパクトは違います。
現場としては提供時間がかかりすぎてリスクを回避したがりますが、この方が口コミになるのです。
そのほかには、たとえば塊肉を選んで焼き上げる「骨付き仔牛のローストビーフ」ならば、お好きな塊肉をお客様に選んでもらいます。
そしてお客様が自分で選んだインパクト大の塊肉をそのお店にこだわりの調理法でじっくり焼き上げるのです。
これだけでも格別の味わいに生まれ変わります。
このように今提供している食材の切り方や調理法を工夫できないか考えてみるのです。
【パターン5】食べ方提案
パターン5のひつまぶしのような食べ方提案です。
名古屋の名物料理である「ひつまぶし」は、うなぎの蒲焼を細かく刻んでご飯にまぶしたものです。
- 一膳目はお茶碗に盛り、そのままウナギの味を楽しむ。
- そして二膳目はさらしネギとワサビを加えて混ぜ、ネギの歯ざわりとワサビの風味を楽しむ。
- 最後、三膳目は薬味と海苔をのせ、おだしをかけて「うな茶漬け」として楽しむ。
このような食べ方提案ができると看板メニューとなります。
日本橋にある行列ができる有名な海鮮丼のお店「つじ半」の海鮮丼(ぜいたく丼)はまさにこのタイプです。
つじ半は、つけめん「めん徳二代目 つじ田」と天丼「金子半之助」がコラボして作ったお店です。
- まずは醤油の入った小鉢に山葵を溶いて、丼の魚介にかけます。
- やがて丼が空になると、カウンターの板前さんに、丼にご飯と出汁を入れてもらいます。
- そこに、小皿に盛られていた刺身を添えて食べると提案です。
「めん徳 二代目 つじ田」のつけ麺の食べ方提案は、
- 最初の1/3はそのまま食べます。
- 次に残り2/3になったらすだちを絞って食べます。
- そして残り1/3になったら黒七味を入れて仕上げです。
この両店や「金子半之助」は3店舗とも食べログの評価は☆3.60の大繁盛店です。
1時間並んでも食べたいお店です。
【パターン6】お客様の好みに合わせてカスタマイズ
パターン6の「お客様の好みに合わせてカスタマイズ」できるメニューです。
この手法で有名なのはサンドイッチチェーンの「SUBWAY」や都内で話題の生パスタ店「Gaston&Gaspar」です。
両店ともお客様が自分の好みに合わせて、自由にカスタマイズできます。
そのほかに東京スカイツリーの中に「レムソンズ」というアイスクリーム店も同様な方法で人気を集めています。
このお店では顧客自身がセルフサービスでアイスを盛った分だけ量り売りするというコンセプトです。
量り売りの立ち食いステーキ専門店「いきなり!ステーキ」もこの応用です。
以上6つが、繁盛店の一番商品のパターンです!
みなさんのお店のあの商品やこの商品も、いずれかのパターンを使って看板メニューができないか考えてみてください。
看板商品は集客力や口コミ力になるからです。
看板商品の売上構成率は15%を目標にする
看板商品の売上構成はドリンクを含めた構成で、一品で15%が目標にしましょう!
たとえば、売上1日10万円のお店の場合ですと15000円です(10万円×15%)
この看板商品の価格が一品750円とすれば、20個となります!(15000円÷750円)
ちなみに多くのお店の看板商品の構成率は5~6%ほどです。
これを上記の6つのパターンを使い、さらに強化して15%を目指していくのです。
これは本当に不思議ですが看板商品の出数を増えれば増えるほど、そのお店全体の売上が嘘みたいに上昇します。
逆に言うと、売上が落ちてきたと思ったときは、直近1年間の商品別の売上構成比(月ごと)を調べてください。
その多くは看板商品の出数が落ちているケースが大半です。
これは海鮮居酒屋であろうが、焼鳥店であろうが、定食屋であろうが、看板商品の出数が増えれば増えるほど、お店の売上が伸びるというのが 飲食店すべてで共通する原理原則なのです。
看板商品を中心とした主力カテゴリーをつくる
看板商品が出来上がったら次にやってほしいのは、その看板商品を中心とした主力カテゴリーを強化することです。
なぜなら看板商品の一品だと目的来店客を獲得することが難しいからです。
つまりこの目的は「この料理ならココ」と印象付けることが大事なのです。
総合居酒屋が苦戦していて、専門店の居酒屋が好調なのもその理由です。
ファミレスだと「色々な料理を食べたい」というお客様のニーズを満たすことはできても、「あの店に行けばコレが食べられる」という強い印象を与えることができません。
そして印象に残らないお店は次回再来店の動機付けにはならないからです。
昨今、客数が増えない時代だからこそ、”常連客の獲得”に力を入れていきましょう。
だからこそ主力カテゴリーのメニューを強化して、「この料理ならココ」という印象付けをおこなうのです。
主力カテゴリーのアイテム数は減らすのはNG
売上が伸び悩み、客数が減ってくると効率化のためABC分析のCランク商品をカットすることが多いです。
もちろんCランク商品を削除していくことは間違いではありませんが、主力カテゴリー内の商品なら注意が必要です。
なぜなら、主力カテゴリーのアイテム数やメニューブック上のレイアウト面積が減少すると、高い確率でそのカテゴリーの売上は減少するからです。
つまり『集客目的で自店のウリを打ち出している主力カテゴリーが目立たなくなり、お客様に買ってもらえなくなる現象』が発生するのです。
ということは、お客様の心理は、そのお店を選択する目的性が低下します。
これにより客数が減少し、全体売上も落ちていくのです。
これが、主力カテゴリーの弱体化による売上低下の始まりと言います。
逆に、主力カテゴリーの売上高が伸びれば、お客様の目的来店性が高まっている証拠であり、集客力が高まり、全体売上もアップします。
だから大切なことは、看板商品と主力カテゴリーの売上を伸ばすことなのです。
まとめ
繁盛店には必ず看板商品というものがあります。
逆にいうと看板商品があったからこそ、繁盛店になったとも言えるでしょう。
なぜなら看板商品は単純に商品として売上につながるだけではなく、店の顔となり、自然に営業までしてくれる強力なツールになるからです。
ですから、ぜひ今回の6の法則を参考にしながら皆さんのお店の看板商品を作ってみてください。
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加納 聖士