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店舗ビジネス業界の1−5店舗に多店舗化する方法

店舗ビジネス業界の1−5店舗に多店舗化する方法

現在、私の知り合いの経営者を含めて、多店舗化を進める企業が多いです。

なぜ景気が不透明ななか、多額の資金を必要とする多店舗化を進めるのでしょうか?
今回は、1号店から5号店に拡大していく際の多店舗化の手順と心構えについて、私のノウハウを述べていきたいと思います。

2〜3店舗からさらに店舗を増やす心理とは

なぜこんな先行きの見えない不安定な時代に多店舗化や多角化経営が必要なのでしょうか?

  • 経営者の役員報酬を1,000万円以上取るため
  • 多店舗展開による大量仕入による原価低減のため
  • 多店舗化による認知度アップによるブランディング
  • 多くの事業展開からさまざま経営ノウハウの蓄積
  • 人材活用のメリットを活かすため
  • 年々コンプライアンス対応コストが高騰しているため
  • 業態寿命というリスクをヘッジするため
  • 従業員の待遇面をよくするため
  • 従業員に成長の場を提供したいため
  • 現在の業態の営業利益率を改善するため

など……

役員報酬についてはいろいろな意見があると思いますが、私は経営者はもっと給料を取るべきだと思います。

なぜなら中小零細企業は、金融機関から融資を受けるときのポイントの一つが、連帯保証に立つ経営者の資産状況だからです。

ですから、将来の借入金のためにもきちんと役員報酬を取って、せっせと貯金をすることが大切です。
場合によっては、担保価値のある不動産を手に入れておくのも有効かもしれません。

いまあげた項目を見ていただければわかるかと思いますが、多店鋪化は規模の追求ではありません。

あくまでも100年企業の構築、永続する企業を作っていく一つの手段なのです。

多店舗化には「人づくり」と「仕組みづくり」が必要

飲食店の現場を例に出して、多店舗展開の壁について述べていきます。

飲食店

1号店目のオーナー店長が多店舗展開をしようと決めてスタートしたときに最初に訪れる壁が2号店の壁です。

2号店を出すということは、多店舗化のスタートを切ったということ。
とうぜん1店と2店では、運営方法が違ってきます。

なぜなら自分が見られるのは1カ所だけだからです。

だから経営者がいなくても店が回る仕組みをつくるか、安心して任せる店長を育てるのかしかありません。

つまり「人づくり」と「仕組みづくり」が必要になります。

2号店出店のタイミング

2号店出店のタイミングはケースバイケースですが、下記が理想の時期だと思います。

  • 1号店が繁盛してお客様が入りきらなくなった
  • しっかりと利益が出てきた
  • 店を任せられる人材が育ってきた
  • 金融機関からの融資が受けられるようになった

このなかでも私の経験から照らしあわせてみても、「店を任される人材が育ってきた」が一番のボトルネックになると思います。

なぜなら1号店のときは、とくに皆さんはオーナー店長として働いているケースが多く、日々の営業に追われていて何も考える余裕がないからです。
だからお店を任せられる店長を育てた経験が乏しいからです。

2号店の業態はどうするか?

人が育ったら次に2号店の業態をどうするか、という議論になると思います。
正解はありませんが私は基本的に「同じ業態」にすることをオススメします。

なぜなら1号店がお客様が入りきれないくらい繁盛して利益が出ているのですから、そのノウハウを生かさない手はないからです。

単一業態のメリットはチェーン経営できることです。
チェーン経営とは商圏をチェーンのようにつないで広げていくスタイルです。

そのため地元の消費者に認知されやすく、インフラ設備や仕組み構築がしやすくなります。
また、サンプルが多いため成功要因の分析もしやすくて勝率が高くなります。
そのために成長スピードが早いです。

逆にデメリットは、全店同じのれんなので1店舗で評判が下がると全店に飛び火し、一気にすべてがダメになるというリスクです。

多業態でも裏側に仕組みは必要になる

違う業態で出店させるときの成功のポイントは、裏側に仕組みがあるかどうかです。

つまり単一業態でも仕組みがなければチェーンではないですし、多業態でもオペレーション、商品加工、人材育成、マネジメント等に仕組みがあればチェーンといえます。

そう考えると多店舗化を進めるための「人づくり」同様に必要になってくるのが「仕組みづくり」です。

人づくりと仕組みづくり

まさに「仕組みがあるかないか」が今後の成長のカギとなります。

店舗数が少ないうちは「確実に勝つ」ために同じ業態で勝負した方がいいでしょう。
なぜなら年商3億円を超えるまではトーナメントの勝ち抜き戦だからです。
1敗したら終わりに等しいのです。

だからこと、勝ちを重ねるためには安全策をとるべきです。

この間に多店舗展開するための「人づくり」と「仕組みづくり」をしっかり構築していきましょう。

3〜5号店の出店から本格的な多店舗化がはじまる

次は3~5号店の出店です。
ここからは、いよいよ本格的な展開に入ってきます。

2号店までは。きちんとした多店舗化の考えがなくても、気合や根性で何とかなる部分もあります。
しかし、3号店からは、そうはいきません。

なぜなら3店舗になると物理的に自分の目が行き届かなくなるからです。

3店舗目からの人材の育成

だから、より一層安心して店をまかせられる人材が何人か育ってきてからというのが絶対条件になります。

そして「人づくり」のほかに必要になってくるのが作業の標準化です。
標準化は特別なことではありません。

スタンタードがなければ、Aさんに教えてもらったのとBさんに教えてもらったことが違う、と現場の混乱が起きます。
飲食店やサービス業の店舗は人が絶えず入れ替わる職場です。

きちんと標準化、仕組み化しておかなければ、人が変わればまた同じようなミスを繰り返し、永遠にもぐらたたきをし続けることになってしまいます。

とくに多店舗展開する店で、それは大きなロスです。
そうならないようにするのが仕組み化、システム化です。

3店舗あたりでぶつかるのは商品の均一化

さらに飲食店の場合は3店舗あたりで商品の均一化という壁にぶちあたります。

私も経験がありますが、店が増えてくると、必ずといっていいほど「味がぶれた」「1号店は美味しいけど、3号店はそうではない」といったお客様の声がでてきます。

ではなぜ商品の均一、均質・均量にできないのでしょうか?
それは当然ですが、店が増えれば増えるほど、多くの人が関わるからです。

この問題を「ある程度」解決するためには、キッチンの厨房機器にはお金をかけて、全店に同じ機器を導入する厨房機器の標準化が必要になります。

よく、コンセプト重視でまず内外装優先で設計し、残った部分をキッチンにするという例もありますが、これはNGです。
キッチンは店の心臓部です。
ここに神経を注がなくては意味がありません。

ただし、標準化し過ぎますと大手チェーン化して差別化できない商品が生まれます。
ですので、ある程度の現場裁量の余地を残しておくことが必要です。

3号店から人づくりのほかに組織づくりも必要になる

また3号店からは運営スタイルを変える必要があります。
なぜなら自分一人でやれる範囲を超えるからです。

すると店を運営するためには、今まで以上に従業員の力を頼らざると得ません。
だから、必然的に「組織化」が必要になります

店の運営

しかしこれは怪我の功名になります。
なぜかというと責任を持たせて仕事をまかせることで、スタッフもやる気になってくれるからです。

こうして店数が増えるにつれ、経営者のスタンスを変わっていきます。
経営者自らが率先して1店舗に立つという店長的な仕事の仕方から、スーパーバイザー的な役割に変わっていくのです。

そのため3店舗を超えた辺りから、ある1店舗の売上が悪くなったとき「自分が店に入ればなんとかなる」というプレイヤーの考え方から早く脱却した方がいいと思います。

大切なのは「自分でなくてもどうにかなる」組織を作りあげていくことが大切です。

4〜5号店からは社長業に専念する

店が4~5店舗くらいになって、組織が機能し始めると、経営者自身に時間ができ始めます。

2号店までは食うのに必死で、経営方針や理念、これから先のことまで考える余裕がなかったからです。

だからこそ、この時期にこれまでの実践の中で培った確固たる思いを踏まえて、これからどうしたいのかを考える時間が必要です。

ですのでこのタイミングで経営理念を決めたり、経営計画書の作成に取り掛かるといいでしょう。
経営理念を決めることは、過去を振り返ったうえで、今後自分がどういう会社にしたいかという、未来のビジョンまでを描いて言葉にすることです。

これはトップにしかできません。
だから自分で悩むしかないのです。

社長のシゴトは会社の未来をつくる仕事です。
5年後、わが社が存在する理由を今日つくるのです。

思考系のシゴトの質と量を高めていくのが5店舗以降の社長のシゴトになるのです。

まとめ

今回は1号店から5号店に拡大するときの手順や心構えを書いてきました。

今一度振り返ってみても、やはり多店舗化には人と仕組みづくりが必要ですね。

ところで日本には、創業1000年を超える長寿企業が何社あるか知っていますか?
現在19社あると言われています。
これは世界的にみてとても稀な事例です。

私は100年企業の構築支援のために、このような長寿企業の社風をいろいろ調べてみたことがあります。

その結果、ほとんど例外なく長寿企業は企業内教育に熱心であることと、社内ノウハウや技術を後世に継承していく仕組みがしっかり構築されていました。

なぜ人と仕組みを大事にするのでしょうか?

それは予期できぬ危機への対応のためには必要だからです。

長寿企業は、長い歴史の中で、大きな危機に何度も遭遇してきました。
こうした危機は事前に準備しておくことができません。
だからこそ予期せぬ危機に対応するために、強靭な人と仕組みが必要だったわけです。

これから皆さんの企業も100年企業を構築していく第一歩として、多店舗化や多角化経営をぜひ検討してみてください。


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加納 聖士