目次
店舗経営が軌道に乗り、1号店が繁盛し経営が安定してくると次に考えるのが2店舗目、3店舗目の開店を視野に入れた多店舗展開です。
- ではどのタイミングで2店舗目の開店に踏み切るのがいいのでしょうか?
- 2号店目の商圏や仕入れルート、集客面や融資面はどうしたらいいのでしょうか?
- 多店舗展開における正しい知識ややり方などはあるのか?
物事にはメリットとデメリットがあります。
メリットだけのものがなければ、デメリットだけのものもありません。
では多店舗展開のおけるデメリットを一瞬で帳消しにできるくらいのメリットは存在するのでしょうか?
こちらのサイトでは、多店舗経営のメリットとデメリット、多店舗展開に踏み切る正しいタイミングについて解説していきたいと思います。
どのタイミングで2店舗目に踏み切るのがいいのか?
店舗経営とは箱ビジネスなので、金融機関から融資を得て店舗を構えなければなりません。
つまり99%の経営者は借金をしてビジネスをはじめます。
そのため失敗イコール自己破産というリスクが常にあります。
そのため知っておきたいのは、
- 飲食店であれば出店計画や立地戦略、また仕入れコストをいかに抑えていくか?
- さらに1号店と2号店との商圏の範囲やブランドの認知をどう広めていくか?
- 将来的に直営店で圧倒的な繁盛店にしてから、フランチャイズ展開していったほうがいいのか?
- 物件探しのコツや、店舗マネジメントはどうするか?
- 店舗オペレーションの標準化、スタッフのモチベーション管理をどうしたらいいのか?
- 店長の育成をどうしたらいいのか?
- 成功ノウハウを体系化したマニュアルはどうするか?
- 多店舗展開におけるデメリットはあるのか?
これらを慎重に検討しなければなりません。
で、多店舗化の専門家として私の考える多店舗展開のメリットは、複数店舗を利用しての仕入れコストの削減、複数店舗を利用しての集客面の効率化、競合店対策、従業員のモチベーションの向上、シナジー効果をかけることによるあらゆる経費の削減、成功ノウハウの共有が挙げられます。
今回はこれら多店舗展開におけるメリットとデメリットを解説しながら、成功する秘訣をご紹介します。
多店舗展開のメリットとは?
1号店を開店して数年が経ち、経験と実績を積み重ねると、オーナーは2号店、3号店と多店舗展開を考えるようになります。
多店舗化の原則として、まずは1号店目が繁盛していて、エリアから顧客からの認知が上がってきた時に検討しましょう。
そこでまずは飲食店を例にして多店舗経営のメリットについてご紹介していきます。
- 大量仕入れによるスケールメリットを活用して原価や経費、コストを下げられる
- 地域において自社商圏を確立しながら競合店の出店を防止でき、リスクを分散できる
- 接客面、集客ノウハウ、繁盛店の秘訣など、成功ノウハウや失敗ノウハウを蓄積できる
- 多店舗化による認知度アップによる優秀な店長に頼らないチェーン経営が実現できる
- 店舗数が増えることによる撤退基準や失敗パータンが明確になる
- 物件選びのノウハウが溜まり、物件選びの精度が上がる
- 店舗数が増えることによるブランディンング効果で人材調達が容易になる
- ブランディング効果により、金融機関から資金調達が容易になる
- 年々高騰しているコンプライアンス対応コストのための原資確保
- 業態寿命による急激な集客減、売上減などによるリスク分散
- 1店舗の業績に左右されない多店舗展開によるチェーン経営が実現できる
- 社内のれん分けを含めたオーナー輩出により、従業員のキャリアパスが豊富になる
- 繁盛店の秘訣を体系化し、コンセプト設計、営業支援などのコンサルビジネスの実現
- 社内接客コンテスト、社内イベントをからめ、店長や従業員の成長の場やモチベーションUPの場をつくれる
- 店舗オペレーションの標準化、体系化により、仕組み経営ができ、オーナーは現場から離れられる
- 店舗マネジメントをすすめていく過程で、家業から企業に生まれ変わる
- 多店舗展開メリットを最大に生かし、あらゆるコストや経費を下げ、利益率の改善
多店舗展開のデメリットとは?
多店舗展開のメリットを複数述べましたが、次にデメリットを挙げてきましょう。
これはそのままあなたが不安に感じているポイントではないでしょうか。
多店舗展開のデメリット
- 店舗が増えるのに応じて固定費や変動費が増大する
- すべての店舗が成功するとは限らないので、不採算店ができた時に、ドル箱店の足を引っ張るリスクがある
- 他の店舗と商圏を食い合う可能性がある
- 1店舗で不祥事が発生すると、全店に風評被害の影響を受ける
- 繁盛店を作り続ける難しさ
- 従業員のマネジメントが複雑になる
- 物件を見つかる前に人員を用意しなければならないので人件費が高騰する
- その他の管理全般が複雑化し、オペレーション負担が増える
- オーナーと従業員の間に距離ができ、営業利益が落ちる可能性がある
- オーナーと末端の従業員の間にマネージャーなどの中間管理職が入るため、売上に関わらない管理コストが上がる
これらのデメリットの中には避けられないものもありますが、仕組みづくりを適切に行うことにより解消可能なものもあります。
例えばオーナーと従業員との距離が遠くなることによる悪影響などはいわゆる「大企業病」ですが、上手な仕組みづくりと人材育成により予防が可能です。
またデメリットが避けられなくても、諦めずに改善努力を続ければ極小化できます。
多店舗化の成功法則に沿って、ビジネスモデルと経営戦略を絶えず修正・改善していけば、メリットはデメリットを必ず上回ります。
まずは、多店舗展開にはメリットと同時にデメリットもあることを、事実として受け入れてください。
ただ、デメリットは適正な多店舗展開を行うことで、一挙に帳消しにすることができます。
多店舗展開のシナジー効果には、それだけの威力があるのです。
店舗ビジネスを将来にわたって維持・発展させるには、多店舗展開が最善の道だと私は考えています。
失敗しないための出店戦略と立地戦略
多くの経営者が勘違いしていることがあります。
それは店舗数が増えると自然発生的にチェーン化できると思っているようですが、これは間違いです。
多店舗展開は気合と根性でするのではなく、多店舗化できる事業を作ってこれを正しい手順で広げていくことがポイントになります。
たとえば1号店が儲かったから勢いに乗って2号店・3号店を出したいと考えるのは人情ですが、たいていの経営者がここでつまずきます。
まず大切なことは、多店舗化の第一の条件は、1号店がメチャクチャ儲かっていなくてはなりません。
具体的な数字でいうと営業利益が15%以上です。
既存店のキャッシュフローが原理原則
なぜ15%以上かと言いますと、多店舗化の出店費用の原資は、既存店のキャッシュフローが原理原則です。もちろん金融機関から融資を受けますが、あくまでも多店舗化の原資は1号店のキャッシュフローです。
店舗ビジネスは投資 → 回収 → 投資 → 回収のサイクルの中で、しっかり資金を確保して「カネ」という土台をしっかり固めなければなりません。
メチャクチャ売れているけど利益は雀の涙。
これでは投資したものが回収できなければ、余裕資金を貯めるどころか、資金不足で経営は成り立たなくなってしまいます。
だからこそ15%以上の利益から、内部留保と、金融機関の借り入れ、そして出店コストを貯めていかなければなりません。
15%とそういう意味で一つの目安です。
多店舗化できるポテンシャルを持った事業ならば2〜3年で初期投資を回収していかなければならないので、15%以下ならば、その事業での多店舗化は諦めた方がいいと私は判断しています。
営業利益15%以上が必要なわけ
あと、この営業利益15%以上という数字はもう一つの意図があります。
それは将来直営店展開だけに留まらず、フランチャイズ展開していくという選択肢を増やすことに繋がります。
その点で考えますと15%は必要最低限の数字になります。
なぜならフランチャイズビジネスは本部のノウハウを提供する対価として加盟店は本部にロイヤリティーを支払います。
このロイヤリティーは金額で固定されているところもあれば、売上の何パーセントというように比率が固定されているところもあります。
つまり、当たり前ですが加盟店は本部よりも利益率が悪くなるからです。
この点から考えても、15%以上の利益が出ていないと、FC本部にロイヤリティーを支払った後に加盟店に利益が残りません。フランチャイズビジネスは長期的な視点で見ると、加盟店が儲からないと本部が儲からない仕組みです。
つまりwin-winの関係を築かないとならないので、この点からも営業利益率15%以上は必達なのです。
多店舗経営における成功要因の明確化
営業利益率が安定して15%以上出るようになりました。
じゃあ、安心して多店舗展開していこうと思って広げていっても大抵の大抵の経営者がそこでつまずきます。
つまり15%以上の利益が出ていると言っても安心できないのです。
たとえば、立地がいいだけで売れている店もありますし、原価率60%かけているから売れている店もあります。
その他に、すごい腕を持った料理人を高給で雇っていることが人気の秘密で売れているケースだってあります。
つまり1号店の成功要因が明確になっていなければなりません。
この時に分析する要素は売上を7つの要素に分解して考えます。
1号店目の成功要因を正しく分析するやり方
私はお店の売上を分析する時に、常に以下の7つに分けて考えるようにしています。
- 顧客を集めるための仕組みや仕掛けはあるのか?
- 2回目来店につなげるための仕組みや仕掛けはあるのか?
- 3回目来店につなげるための仕組みや仕掛けはあるのか?
- リピート客が離客させないための仕組みや仕掛けがあるのか?
- 意図的に口コミを発生させるための仕組みや仕掛けがあるのか?
- 買い上げ点数を意図的に増やすための仕組みや仕掛けがあるのか?
- 価値をあげながら一品の単価を上げていくための仕組みや仕掛けがあるのか?
こちらの7つを意識しないで、今の売上を維持できているとしたら、それは偶然の産物にすぎません。
つまり、再現性がないということです。
よく会社の会議で売上が悪い時に売上をどう上げていこうかの議論をすると思います。
その時、社長や一部の優秀な社員だけが話をして、後のメンバーは何をやっていっていいかわからないという風な顔をしています。
では、どうしたらいいのか?
まず売上を上げていこうと議論する時に、「どうやって売上を上げていこうか?」というよりも、「30代前後の新規の女性客を増やすためにどうしていこうか?」と聞いた方が、現場の人間は具体的な意見を述べるようになります。
さらに掘り下げて、「30代前後の新規の女性客を増やすために、店前の置き看板やノボリを変えるとしたらどうしたらいい?」と質問すれば、議論は活性化します。
現場の生きた意見を引き出すことも可能です。
このようなやり方で、なぜ自店が15%以上の利益が出ているのかを仮説でもいいので言語化していくのです。
仮説が出れば、あとは検証していくだけです。
2号店、3号店への出店は再現性がポイントになる
最後に成功要因は過去、そして現在の業界・市場の状態、時代背景などにより、常に変化します。業界と市場は生き物です。
その意味でも業界・市場の推移と競合他社の調査を踏まえ、その事業が持つ成功要因が将来に渡って有効かどうかを判断することが極めて重要です。
プロダクト ライフ サイクルという理論があります。
これは商品が、導入期 → 成長期 → 安定期 → 衰退期の4つの段階を経るという理論です。
業態にも寿命があります。
これは国や生物などありとあらゆることに当てはまると言います。
では、今の自社のブランドはどうなのか。
成長期にあるのか、それとも成熟期なのか、はたまた衰退期なのか。
そう言った意味で、あらゆる角度から1号店目の成功要因を正しく分析することによって、その成功要因を2号店、3号店とコンスタントに再現できるようになります。
- 多店舗経営
- 新店、店舗維持費用、人件費や税金などの必要経費が増加するため、経営が失敗し、閉店した際の損害が増えることがある。また、店舗数が増えると各店舗での集計や発注、勤怠などの管理でミスが発生する可能性も高くなり、店舗間でサービスに差が生じやすくなるのでマニュアル化し、マニュアルに順じて人材を育成し、業態を向上することは業態全体がpulsに育つ。創業時から客足が好調であっても慎重にすすめる施策は重要である。単店舗ではポジションを用意しづらく、キャリアを重ねて育成された有能な人材の離脱を防ぐことは難しいが、多店舗展開し、新店舗を開業するとやエリア統括マネージャーといったキャリアアップを用意でき、熟練した人材が定着しやすい。チェーン展開が実現すればコンサルビジネスに発展し、多角経営によるリスクヘッジが可能となり単価の分散やコストダウンへ繋がる。
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