「多店舗展開するメリットは何か」このページで詳しく解説します。
多店舗展開するメリットとは、「売上ががるから」「利益率が良くなるから」だけではありません。
一方で、規模の拡大は時代遅れと言われることもありますが本当にそうでしょうか?
ここでは、500社以上の多店舗展開を支援してきた、多店舗展開の第一人者である加納聖士が、多店舗展開をすることで得られる16のメリットについて詳しくお伝えします。
多店舗展開の効果を最大化するためにも、ぜひ、あなたのビジネスと照らし合わせて考えください。
目次
多店舗展開のメリット
規模の拡大は時代遅れ?
多店舗展開における最大のメリットについて、動画で簡単に解説していますので、ご覧ください。
飲食店、美容室などの店舗経営はいま、先行きの見えない困難な時代に突入したと言われています。
業界では「規模の拡大は時代遅れだ」という一部の声が聞こえていますが、それは本当でしょうか?
正しく多店舗展開することによって利益増加につながりますし、人材確保のフックとなり、人員数の増加、人材育成にもつながります。
このページでは、店舗オーナーが多店舗化を判断していく上でも最も重要となる多店舗展開の正しい判断軸についてお伝えしていきます。
コストの増加による営業利益の激減を解消するには
吉野家ホールディングスは2019年2月期連結決算で、約60億円の赤字に転落しました。
通期の赤字は6年ぶりです。
ここで問題になるのは、売上高は前年同期比で2.7%増加したにもかかわらず、最終損益が赤字に転落したことです。
つまり、コストの増加によって営業利益が激減してしまったわけです。
アベノミクス以来、原材料や人件費は高騰しています。
そして深刻な人材不足で人が集まらず、求人コストは上がり続けるなど、明るい視野が開けていない状態です。
原材料費とアルバイト代が高騰することによって、利益額が減り、銀行や公庫からの借入金を返済すると、手元にはキャッシュが残らない。
やがて運転資金がショートし、経営者自身の資産で補填してもだめなら倒産、さらに自己破産に至る恐怖のシナリオさえもチラついてきました。
この厳しい状況を変えていくためにはどうしたらいいと思いますか?
このネガティブな要因を解消する案が「多店舗展開」なのです。
1日も早くラットレースから抜け出す
1店舗、2店舗のまま何も変えずにいたら、上記の理由から現状維持さえできなくなることが目に見えています。フランチャイズ(FC)加盟店なら、本部の責任で改善の指示があるかもしれません。
しかし自分で創業した独立系の直営店には、本部のスーパーバイザーのようなアドバイスをくれる人はいません。
自分の頭で考え、仕入れの方法、人材育成の見直しも含めて、みずから改善のための行動を起こす必要があります。
そのタイミングこそ今ではないでしょうか?
きっとこのページを見ている店舗オーナーの皆さんは、お客様と直接対面して笑顔を交わし、お互いに幸せを感じあえるこのビジネスが大好きだと思います。
だからこそ現状を打破して、明るく楽しく、そして儲かる事業をこの先も続けたいと願っていることと思います。
私がプロデュースしている多店舗化養成塾に参加している経営者も、そんな方々ばかりです。
私は受講される方々にいつも言っているのは、次のひと言です。
多店舗展開の究極の目的はリスクヘッジにある!
店舗経営における最大のリスクとは何でしょうか?
それは言うまでもなく倒産です。
倒産に至る最大の原因こそ、業績悪化による資金ショートです。
これを防ぎ、事業を永続させるための唯一の戦略が、多店舗展開だと、私は確信しています。
なぜ、そう言えるのか、以下に説明していきましょう。
なぜ、多店舗展開が倒産へのリスクヘッジになるのか?
なぜ多店舗展開が倒産へのリスクヘッジになるのでしょうか?
それを考える前にまず、多店舗展開で実現する具体的なメリットとは何かを考えてみましょう。
多店舗展開で得られる”16のメリット”
- 大量仕入れによるスケールメリットを活用して原価や経費を下げられる
- 地域において適切な立地で自社商圏を確立しながら、競合店の出店を防止できる
- 接客面、集客ノウハウ、繁盛店の秘訣など、成功ノウハウや失敗ノウハウが蓄積できる
- 多店舗化による認知度アップによるチェーン経営が実現できる
- 店舗数が増えることによる撤退基準や失敗パターンが明確になる
- 物件選びの精度が上がる
- 店舗数が増えることによるブランディング効果で認知が向上
- 現場のモチベーションが上がり人材調達が容易になる
- ブランド向上、認知向上により、金融機関からの資金調達が容易になる
- 年々高騰しているコンプライアンス対応コストのための原資確保ができる
- 業態寿命による急激な集客減、売上減などによるリスクを回避できる
- 1店舗の業績に左右されない多店舗展開によるチェーン経営が実現できる
- 社内のれん分け・独立を含めたオーナー輩出により、従業員のキャリアパスが豊富になる
- 繁盛店の秘訣を体系化し、コンセプト設計、営業支援などのコンサルビジネスが実現する
- 社内接客コンテスト、社内イベントをからめ、店長や従業員の成長の場が提供できる
- 多店舗展開メリットを最大に生かし、あらゆるコストや経費を下げ、利益率を改善できる
多店舗化をうまく展開すれば、これらのメリットが実現できます。
(1)の大量仕入れによる原価や経費の削減効果はわかりやすいですね。
(2)は地域ドミナント出店により、商圏を面で押さえて、競合他社が出店してくる余地を無くすことができるのも、大きなポイントです。
そのほかは、経営効率を改善し、コストを削減できますし、独自の仕入れルートの開発と強化、同時に人材登用・育成の仕組みを構築することもできます。
その結果、競合との差別化を図ることができることこそ、多店舗化の秘訣なのです。
(1)〜(15)のメリットを享受した結果として、(16)に上げた利益率改善ができます。
これを私は多店舗展開における「戦略的シナジー効果」と呼んでいます。
多店舗展開における最大のメリットとは?
多店舗展開で得られる最大のメリットは「利益率改善」です。
事業は採算割れし続けると永続させることはできません。
そしてよく見ていただきたいことは、上記の(1)〜(15)のメリットを、1店舗しか経営していなければ享受することはできないのです。
なぜならシナジーをかけられないからです。
多店舗化には1店舗であげている売上と同程度の売上を複数店舗で上げるだけでも、スケールメリットを活用して経費を大きく削減させることが可能です。
そして人や物のやりくりや成功ノウハウの水平展開により、結果、利益率が増大していくのです。
そしてブランドの知名度も上がり、利益が増加していくのです。
それだけではありません。
複数店舗間では(1)〜(15)の「シナジー効果」(相乗効果)が生まれ、さらに著しいコスト削減が可能になります。
この利益率の改善、 これが多店舗展開における最大のメリットだということを、しっかりと頭に入れてください 。
利益率を上げれば、役員報酬を1000万円以上にできる
利益率が向上すれば、手持ちのキャッシュを増やすことができます。
多くの経営者は、それを開業資金や運転資金に使いたいと考えますが、本当にそれは正しいのでしょうか?
開業資金や運転資金は、たいていの場合手持ちの資金だけでは足りなくなります。
銀行からの融資を受けるための条件は、会社が信用されていることです。
貸したお金が返せないような会社にはお金を貸せないのは道理です。
中小企業の場合、会社そのものの認知度や信用度の評価は難しいので、実際には経営者個人の人物と資産が大きく評価されます。
特に社長の個人資産の状況は、大事な審査項目になります。
銀行融資の場合、融資に対して社長の個人保証をつけることが求められることがほとんどです。
公庫からの融資などでは社長の個人資産が少なくても融資実行されることはありますが、限度額フルに借りられません。
さらに個人資産が少ない状態で、1店舗での営業を続けていくとどうなるでしょうか。
先ほど触れたように、経費がどんどん増える一方では、売上が一定でも利益は確実に減っていきます。
その結果、手元のキャッシュが減る一方、自らの報酬を上げることができず、融資を受けられない。
そしてやがて会社の資金が尽きて、補填もままならなくなると資金ショートして倒産。
その後、自己破産するというのが最悪のシナリオになります。
自己破産すると、信用がなくなるので最低でも10年の間、融資を受けるどころかクレジットカードも作れない、さらに100万円以上の資産は没収される事態に陥ります。
会社は赤字でも倒産しませんが、社長の資産が尽きると黒字でも倒産します。
だからこそ、社長の役員報酬を増やし、資産をできるだけ多く形成しておくことが重要なのです。
役員報酬1,000万円は最低でも取りたいわけ
では、オーナーの役員報酬はいくらあればよいのでしょうか?
その一つの基準は年間1000万円が最低基準だと思います。
なぜならリスクを背負いながら起業し、店舗を開業し、日々の経営と店舗オペレーションに頑張っておられる皆さんにとって、1000万円は高いでしょうか、安いでしょうか。
会社のことばかりでなく、自分の老後資金のことも考えたら、これは決して高くはない、といって安くもない、バランスのよい数字だと思います。
ただ、1000万円の報酬をとるというと、現実には難しいという方が多いと思います。
なぜなら、年商5000万円の飲食店での役員報酬1000万円は、売上の20%に相当します。
飲食店では食材費が30%、人件費が30%、合わせてFLコストを60%に抑えないと利益が出にくい構造になっていますから、役員報酬を1000万円とってしまうと、残り500万円で社員とアルバイトを雇わなければなりません。
これは非常に難しい、というより、現実的に不可能と言っていいでしょう。
これをたとえば10店舗の経営に置き換えたらどうなるでしょうか。
全体の年商が5億円に拡大すると、役員報酬の1000万円は売上の20%から2%に縮まりますね。
利益との対比ではどうでしょうか。
1店舗の場合で利益率が3%なら、利益額は150万円しかありません。
役員報酬1000万円は利益額の6.7倍になってしまいます。
10店舗にした場合、同じ利益率なら利益額は1500万円ですが、実は上述した多店舗化の「15のメリット」が生じます。
私の経験から、そのメリットを生かせば利益率は3%だったものが6〜7%程度にまで向上するのが経験則です。すると利益額は3500万円になりますね。
役員報酬は利益額の3割以下になるというわけです。
店舗運営のコストもさまざまな面で縮小できますから、オーナーの資産形成をしながら、事業拡大のための内部留保も、これなら十分に確保できるというわけです。
つまり正しい多店舗展開をすれば経営のリスクヘッジにもつながるわけです。
直営店の成功の先にフランチャイズ化という選択肢が増える
多店舗展開に成功している大手フランチャイズ(FC)チェーンはすべて、加盟金やロイヤリティ、仕入れをはじめとした、こうした多店舗化によるシナジー戦略により利益率向上に成功しています。
FC本部で開発・洗練した店舗運営ノウハウや、複数店舗の総合管理ノウハウがマニュアル化され、直営店のみならずFC加盟店それぞれが共有しているからこその全体での成功を可能としています。
10店の直営店経営に成功したあと、90店舗をフランチャイズ展開するような場合を考えれば、利益率は5割越え、利益額は百数十倍に拡大が可能になります。
そんな劇的な経営改善ができるのが、多店舗展開の凄さというわけです。
ただし、多店舗化にはデメリットも当然ながら存在します。
これについては別項目で解説していますが、最初に書かせてもらった通り、世の中にはリスクがまったくゼロというものはありえません。
メリットとデメリットを十分理解して、今後の取り組みをされることをお薦めします。
複数店舗のシナジー効果で利益率は上がる
なぜ多店舗展開ではこのような経営改善が可能なのでしょうか。
それは繰り返しますが複数店舗による「シナジー効果」(相乗効果)が生まれるからです。
ある要素が他の要素と合わさることによって単体で得られる以上の結果が生まれるのです。
飲食店では仕入れコストの大幅の削減が最も大きなメリットになります。
他業界を含めても多店舗展開では、次のようなシナジー効果が期待でき、利益額を増加させることができます。
多店舗展開で生まれるシナジー効果
- 原材料をまとめて発注することのスケールメリット
- ドミナント出店(面での出店)による社員数の削減メリット
- ドミナント出店による店長数の削減メリット
- ドミナント出店による物流コストの削減メリット
- 消耗品をまとめて発注・調達するスケールメリット
- 社員教育を同時に行うことによる人材育成の効率化メリット
- 同時に求人広告を出すことによる募集コストの削減メリット
- 同一業態をやることによる成功ノウハウの共有メリット
- 同一業態をやることによる出店コストの削減メリット
- 1店舗あたりの商品開発コストの削減メリット
ただし、正しい多店舗展開のやり方を最初から視野に入れ進めていくと、このようなシナジー効果によるメリットが得られます。
ではどうすればシナジー効果を最大に発揮でき、利益率を倍以上に改善できるのでしょうか。
これには店長をはじめ人材の育成・活性化、成功ノウハウや秘訣のマニュアル化、業界や市場のタイミングを見計らった出店、資金面、原材料や人材の調達、人材育成の効率化、計数管理、新商圏へのエントリーの仕方、その他さまざまなノウハウが必要です。
倒産という最大のリスクを避け、十分な採算をとり、社長自身の資産も確保し、さらに利益を上げて繁盛する店を増やしていくための手順と考え方を、弊社が定期開催している多店舗化セミナーやフランチャイズ3.0構築セミナーでお話ししています。
ぜひ、お越しいただいて、詳しいノウハウを身につけていただきたいと思います。
それこそが、店舗経営のリスクヘッジになるものと確信しています。
- 多店舗展開メリット
- 社員不足・従業員不足により接客サービスの標準化が確立しないと、クレームや集客の低下へと繋がり、スタッフのモチベーションを下げる要因となります。さらにモチベーション維持には、スタッフ→店長→スーパーバイザー(アドバイザー) などのポジションが確立されていることも要因となります。
良い立地、物件で、知名度が高くとも、店舗ごとにコンセプトを持ち、採算がとれるよう、原価の見直しなどでコストダウンを図り、黒字経営へと軌道にのせなければ、客足は遠のき、閉店のリスクが高まります。
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